先に結論:eBayの取り分は約15%、そこに関税と原価が別枠で乗る
結論から書きます。日本人セラーがストアなしでeBay輸出をする場合、eBayに払う手数料(落札手数料+注文ごとの固定費+海外決済手数料)は、売上合計(商品代金+送料)のおよそ15%です。ここは以前から変わっていません。変わったのは、もう一つの原価が加わったことです。米国向けの取引はDDPが必須になり、関税をセラーが立て替えて払うようになりました。日本原産の商品なら、2026年7月24日以降は多くの分類で商品代金の12.5%です。
この2つは、性質がまったく違います。eBayの手数料はeBayに払うもので、ストア契約に入ると率が下がる余地があります。関税は米国政府に払うもので、ストアに入っても下がりません。「なんとなく2〜3割引かれる」でひとまとめにしてしまうと、値付けの逆算ができなくなります。この記事では、①今かかる手数料の一覧、②関税まで含めた実例計算、③損益分岐点の出し方、④ストア契約で計算がどう変わるか、の順に整理します。
- eBayの手数料(落札手数料+注文ごとの固定費+海外決済手数料)は、売上合計のおよそ15%。この率はストア契約で下げられる
- 関税は米国政府に払う原価。2026年7月24日以降、日本原産の多くの分類で商品代金の12.5%。ストア契約に入っても下がらない
- 実例:仕入れ$35・送料実費$20・商品価格$100(売上合計$120)で計算すると、手数料と関税を合わせて$30.84が引かれ、仕入れと送料を引いた利益は約$31.76
- 損益分岐点の売上合計は「(仕入れ値+送料実費+関税+固定費)÷(1−落札手数料率−海外決済手数料率)」で出せる。今回の例では約$79.84
- ストア契約が変えるのはFVFの率だけ。関税・固定費・海外決済手数料は変わらない。入るかどうかの損益分岐はeBayストアとはで確認する
今かかる手数料をひとつずつ確認する:FVF・注文ごとの固定費・海外決済手数料・出品手数料
関税の前に、まずはeBayに払う手数料から確認します。今かかっているのは、大きく4種類です。
- 落札手数料(FVF):多くのカテゴリーで13.6%(2026年に13.25%から引き上げ)。本・映画・音楽は15.3%、時計・ジュエリー系は15%(金額帯・カテゴリーで変動)
- 注文ごとの固定手数料:$10超の注文で$0.40、$10以下で$0.30
- 海外決済手数料:1.35%(日本登録のセラーが海外サイト(ebay.comなど)で販売する際)
- 出品手数料:毎月250品まで無料。超えると1品$0.35
多くのカテゴリーでは、売上合計(商品代金+送料)のうち$7,500までが13.6%、$7,500を超えた分は2.35%に下がります(1品ごとの計算。複数の注文をまとめての判定ではありません)。たとえば$9,000で売れた商品なら、最初の$7,500には13.6%($1,020)、残りの$1,500には2.35%($35.25)がかかり、合計$1,055.25です。ずっと13.6%のまま計算すると$1,224になるので、約$169の見積もりすぎになります。この記事の実例($120)では影響しませんが、時計やアンティーク家具のような高額品を扱うなら、この2段階を覚えておくと損益計算が狂いません。この$7,500・2.35%という閾値と率は、ストア契約の有無やプランでは変わりません(ストア契約が動かすのは$7,500までの基本料率だけです)。
この4つ以外にも、値付けの計算には次を入れておくと安心です。Payoneerの為替手数料:最大2%。売上(ドル)を円に換えて引き出すときにかかるもので、eBayの手数料ではありませんが、手取り計算には必ず入れてください。任意で使うPromoted Listings(広告)は2%〜。セラーレベルがBelow Standardに落ちるとFVFに+6%のペナルティ(4ヶ月以上続くと+7%)が上乗せされる一方、Top Rated Seller(TRS Plus)の条件を満たすとFVFが10%割引になります。運営の質が、そのまま手数料率に跳ね返る仕組みです(詳しくは「セラーレベルとサービスメトリクス」)。
実例で計算する:仕入れ$35・送料$20・売値$100の商品に関税12.5%を含めた手取り
- 落札手数料(FVF)13.6%:$120 × 13.6% = $16.32
- 注文ごとの固定手数料:$0.40
- 海外決済手数料 1.35%:$120 × 1.35% = $1.62
- ここまでの合計:$18.34。eBayから実際に入金される金額は $120 − $18.34 = $101.66
- 関税 12.5%(商品代金$100分):$12.50。これはeBayの入金からは引かれず、CPaSSで発送ラベルを作る時点で送料とまとめてその場で支払う、別枠の原価
- 入金$101.66から、関税$12.50・仕入れ値$35・送料実費$20を引くと$34.16
- さらにPayoneerの為替手数料(最大2%)を引くと、利益は約$31.76
※ 広告を使えばここに広告費が上乗せされます。カテゴリー・原産国・分類によって手数料率と関税率は変わるので、自分の主力商品で一度計算しておくのがおすすめです。
損益分岐点の出し方:最低いくらで売れば赤字にならないかを先に決める式
ここまでの内訳が分かれば、出品する前に「最低いくらで売れば赤字にならないか」を計算できます。これが損益分岐点です。送料を実費どおりに設定している場合、次の式で出せます。
損益分岐点の売上合計(商品代金+送料)=
(仕入れ値+送料実費+関税+注文ごとの固定手数料)÷(1−落札手数料率−海外決済手数料率)
先ほどの例に当てはめると、($35+$20+$12.50+$0.40)÷(1−13.6%−1.35%)=$67.90÷0.8505=約$79.84。売上合計がこれを下回ると赤字、上回れば黒字です。実際の売上は$120でしたから、損益分岐点より$40ほど上、というのが今回の利益の正体です。送料に利益を乗せて設定している場合は、その乗せた分を仕入れ値側に足して計算してください。
値付けは、この式を逆算に使うのが実務的です。仕入れ値と送料実費が決まった時点で、目標の利益額を仕入れ値に足してから式を解けば、最初に付けるべき価格が出ます。売れてから電卓を叩くのではなく、出品する前に利益を確定させる。これが、手数料と関税の両方を知っている人だけができる値付けです。
ストア契約に入ると、この計算はどう変わるか
さっきの例で、Most categoriesの割引(13.6%→12.7%)が適用されたとして置き換えると、FVFは$16.32から$15.24へ、$1.08浮く計算になります。1件あたりは小さく見えますが、売上が積み上がるほど効いてきます。ただし、ストアには月額がかかるので、浮く額が月額を上回るかどうかは別に計算が必要です。
プランごとの月額、カテゴリー別の割引幅、どの月商から入るのが得になるかの損益分岐は、この記事では扱いません。eBayストアとは【2026年版】料金プラン比較と入るタイミングにまとめてあるので、自分の月商と照らし合わせて確認してください。ここで持ち帰ってほしいのは、「ストアが変えるのは手数料の一部だけで、関税と仕入れ・送料の原価は変わらない」という一点です。出品を始めたばかりで出品方法を確認している段階なら、まずはストアなしの数字で損益分岐点を計算できるようにしておけば十分です。
まとめ:手数料も関税も先に計算に入れてから、値段を決める
整理します。eBayに払う手数料はおよそ15%で、これはストア契約で下げられる余地があります。関税は米国政府に払う原価で、日本原産の多くの分類で12.5%、ストアに入っても変わりません。この2つを分けて、仕入れ値・送料実費と一緒に損益分岐点の式に入れる。それが今のeBayでの正しい値付けです。
「なんとなく2〜3割引かれる」で止めていると、関税が変わったときも、ストアに入ったときも、自分の数字がどう動いたのか分からないままになります。今日の式を一度、自分の主力商品で計算しておいてください。
この式を毎回手で計算し直すのではなく、その場で自動計算したい方は、eBay利益計算の方法【無料ツールあり】で無料のWebツールを用意しました。
- 落札手数料(FVF)は売上合計(商品代金+送料)に対して13.6%が目安。カテゴリーで変わる
- 注文ごとの固定手数料$0.40($10超の注文)、海外決済手数料1.35%も忘れずに入れる
- 関税は商品代金に対して。日本原産・米国向けの多くの分類で12.5%(2026年7月24日以降)
- 損益分岐点=(仕入れ値+送料実費+関税+固定費)÷(1−FVF率−海外決済手数料率)
- ストア契約が変えるのはFVFの率だけ。関税・固定費・海外決済手数料は変わらない
- 値付けは逆算。仕入れ値が決まった時点で、目標利益込みの価格を先に出す