— ある日の岐阜の仕事場、夕方 —
おかあさん前の記事で「DDP」って言葉が出てきたけど、これってそもそも何? インコタームズって聞いたことあるけど、関係あるの?
おかあさん
おとうさん
おとうさん大いに関係あるよ。DDPはインコタームズっていう国際取引のルールで定められた条件のひとつ。今日はまずインコタームズが何かから整理して、その上でDDPとDDUの違いを見ていこう。

インコタームズとは

— 国際商業会議所が定めた国際取引ルール

インコタームズ(Incoterms)は、国際商業会議所(ICC)が定めた、国際貿易における「売主と買主の責任範囲」を取り決めるルールです。世界中で使われている共通の貿易条件で、以下のような項目を整理しています。

  • 誰が輸送費を負担するか
  • 誰が関税・税金を支払うか
  • どこで所有権・リスクが買主に移るか
  • 誰が輸出入手続きを行うか

現在はIncoterms 2020が最新版で、全部で11の貿易条件が定められています。eBay輸出で関係するのは、主にDDPDDU(DAP)の2つです。

DDPとDDUの違い

— 2 Terms
eBay輸出で使う2つのインコタームズ条件
  • DDU(Delivered Duty Unpaid):関税後払い
    バイヤーが商品を受け取る時に、配送業者に関税を払う方式。
    ※ Incoterms 2010以降、正式には「DAP(Delivered at Place)」に置き換えられているが、実務では「DDU」と呼ばれ続けている。
  • DDP(Delivered Duty Paid):関税元払い
    セラーが事前に関税を計算し、商品代金に含めて支払う方式。バイヤーは追加の支払いなしで商品を受け取れる。

なぜDDPが必須化されたのか

おとうさん
おとうさん2025年10月17日からeBay Japanが「米国向け$2,500未満の発送はDDP必須」って発表したんだ。「推奨」じゃなくて「必須」。これはちゃんと理解しておかないと、今後の出品が成り立たなくなる。
— Mandatory
eBay JapanのDDP必須化(2025年10月17日〜)
  • 2025年10月17日以降、米国向けで商品単価 $2,500未満の取引はDDP必須
  • すべての配送業者(FedEx・DHL・UPS等)で適用
  • セラーは商品価格に関税・通関手数料を含めて出品する必要
  • 従来のDDUによる「バイヤーが関税を後払い」は事実上できなくなった
— DDPのバイヤー側のメリット
  • 追加支払いなしで受け取れる(精神的ストレスゼロ)
  • 合計金額が事前に確定する(買う前に予算が分かる)
  • 受取拒否のリスクがない(DDUだと関税の支払いを嫌がって受け取り拒否される場合あり)
  • 配送がスムーズ(関税未払いで止まることがない)

DDUを選ぶケース:$2,500以上

おとうさん
おとうさん米国向けでも、商品単価が$2,500以上の場合はDDPの対象外。この場合は引き続きDDU(DAP)でも発送可能。
— Above $2,500
$2,500以上の商品の取り扱い
  • 米国の通関制度上、$2,500以上は「Formal Entry(正式申告)」の対象
  • このカテゴリーはeBayの強制DDP範囲外
  • 従来のDDU(DAP)による発送が引き続き可能
  • ただし、バイヤーへの事前説明(関税が発生する旨)は必須

米国以外の地域は依然としてDDU

おかあさん米国以外の国も同じようにDDP必須になるの?
おかあさん
おとうさん
おとうさん2026年7月時点では、米国とEU以外の地域は依然としてDDU(DAP)が一般的だよ。ただしEUは2026年7月1日に€150の免税枠が廃止されて状況が変わったし、米国側も7月24日にSection 301へ切り替わって、立て替える金額そのものが動いている。
地域別の現状(2026年7月時点)
  • 🇺🇸 米国:$2,500未満はDDP必須、$2,500以上はDDU可
  • 🇪🇺 ヨーロッパ2026年7月1日にEUデミニミス(€150)が廃止済み。€3の定額関税が暫定導入されており(2028年7月まで)、配送各社でDDP要件化の動きが進行中
  • 🇬🇧 イギリス:£135未満は引き続きDDU可(£135デミニミスは遅くとも2028年10月までに廃止予定)
  • 🇦🇺 オーストラリア:DDU継続中
  • 🇨🇦 カナダ:DDU継続中(バイヤー側に関税支払いの仕組みあり)
  • アジア・中東・南米:DDU継続中、各国ごとに通関ルールが異なる
— ⚠️ 今後の見通し

2025年8月の米国デミニミス撤廃を皮切りに、世界的に「低額商品もすべて関税の対象」へ向かう流れが加速しています。EUは2026年7月に撤廃済み、英国も遅くとも2028年10月までに撤廃する予定です。
つまり、米国の今のルールが、近い将来の世界標準になる可能性が高いということ。今のうちにDDP運用に慣れておくことは、将来への投資になります。

DDPは「米国向けの新標準」

— 結びに

DDPは、米国向け$2,500未満ではすでに必須です。関税の計算そのものは配送業者(CPaSS、FedEx、DHL等)がほぼ自動で処理してくれるので、作業としての手間は多くありません。ただし立て替えた関税が戻ってくるわけではないことは押さえてください。DDPで変わったのは手順ではなく、関税がセラーの原価になったことです。いくら乗るのかはSection 301の記事で確認してください。

米国以外の地域はまだDDUですが、世界的な流れはDDP方向に向かっているのも事実。「バイヤーが安心して受け取れるセラー」になることが、これからの時代に長く続けるための大きな差別化要因になります。

次の記事では、DDP対応も含めた国際配送業者の選び方を詳しくお話しします。