eBayのオファーとは:受けのBest Offer、攻めのSend Offer
日本のフリマアプリで値下げコメントが日常なのと同じように、eBayでも価格交渉はごく普通の文化です。eBayのオファーとは、この値下げ交渉のやり取りをする窓口のことで、方向によって2つに分かれます。Best Offer(ベストオファー)は、バイヤー側から「この値段で売って」と提案が届く受けの仕組み。出品時に「Allow offers(オファーを受け付ける)」をONにしておくと使えます。もうひとつのSend Offer(オファー送信)は、ウォッチやカート追加で興味を示したバイヤーへ、セラー側から割引価格を提案する攻めの仕組みです。
どちらも対象になるのは固定価格(Buy It Now)の出品で、オークション形式は対象外です。そして大事なことがひとつ。オファーで値引きして売れた場合、落札手数料(FVF)は実際に売れた価格に対してかかります。定価ではなく成約価格ベースなので、「値引きしたのに手数料は定価分」という損はありません。
- Best Offer(受け):バイヤーが希望価格を提示してくる。1商品につき最大3回まで(多くのカテゴリ)。セラーはAccept/Decline/Counterofferの3択で対応
- Send Offer(攻め):ウォッチ・カート追加などで興味を示した直近のバイヤー(最大30人)に、表示価格より5%以上安い価格を提案できる
- 共通ルール:オファーの有効期限は96時間(4日)。交渉中も他のバイヤーは定価で即購入できる(在庫の取り置きはない)
値下げ交渉の受け方①:Allow offersとMinimum offerの決め方
Best Offerを受け付ける設定は、出品方法の記事のStep 8(PRICING)で触れたとおり、出品フォームのPRICING欄にある「Allow offers」をONにするだけです。ONにすると、次の2つの入力欄が現れます。
Minimum offerは「この金額未満のオファーは自動で断る」ライン、Auto acceptは「この金額以上のオファーは自動で承諾する」ラインです。この2本の線を引いておくと、明らかに論外な金額と、文句なしの金額には自動で対応され、自分が考えるのは中間の金額だけになります。時差のあるeBayでは、寝ている間に届いたオファーが自動処理されるこの仕組みがとても効きます。
値下げ交渉の受け方②:Accept・Counter・Declineの判断基準
中間の金額のオファーが届くと、eBayから通知が来ます。対応はSeller HubのActive(出品中)の一覧から。オファーの付いた出品に件数が表示され、そこからAccept(承諾)/Decline(断る)/Counteroffer(逆提案)の3択で返します。オファーとカウンターオファーの有効期限は96時間(4日)で、期限が切れるか、その出品が先に売れた時点で失効します。以前は48時間でしたが、現在は4日に延びています。
判断の型はシンプルです。損益分岐より十分上ならAccept。惜しい金額ならCounterofferで打ち返す。論外ならDecline。カウンターオファーは自分とバイヤーそれぞれ最大5回まで出せるので、1回目から最安値を出す必要はありません。表示価格$100・損益分岐$70の商品に$70のオファーが来たら、$85で返してみる。バイヤーが$78で返してきたら$80で返す。この「ラリー」の途中で成立するのが、eBayのごく日常的な売れ方です。
なお、Declineを選んでも相手に失礼にはあたりません。価格交渉はゲームのようなもので、断られたバイヤーが定価で買っていくこともよくあります。ただし、返事をしないまま96時間放置するのがいちばんの機会損失です。オファーの通知が来たら、その日のうちにどれかの選択肢を返す習慣をつけてください。
攻めのSend Offer:ウォッチャーに割引を届ける
ここからが攻めの番です。商品をウォッチしたり、カートに入れたまま数日置いているバイヤーは、「欲しいけれど、あと一歩迷っている人」。Send Offerは、その人たちにだけ表示価格より5%以上安い特別価格を直接届ける機能です。全員に見える値下げと違って表示価格(定価)は変わらないので、ブランド価値を下げずに、迷っている人の背中だけを押せます。届く相手は直近で興味を示したバイヤー最大30人。誰に届いたかは互いに分からない匿名方式なので、気負う必要はありません。
送り方の手順を見ていきます。Seller HubのActive(出品中)の一覧で、送りたい出品の右端にあるメニュー(▼)を開くと「Send offers」があります。興味を示したバイヤーがいる出品なら、ここからオファー送信の画面に進めます。「Eligible to send offers(オファー送信可能)」で絞り込めば対象の出品だけを一覧でき、複数選んでまとめて送ることもできます。同じメニューには「Add Best Offer」もあり、出品時にAllow offersを入れ忘れた商品も、ここから後付けでオファー受付をONにできます。
「Send offers」を開くと設定画面が出ます。決めることは実質2つだけ。Discount(割引)とMessage(メッセージ)です。割引の指定方法はTypeのプルダウンでPercent off(何%引き)・Amount off(何ドル引き)・Offer amount(オファー価格を直接指定)の3種類から選べます。迷ったらPercent offで10%前後が使いやすい形です(最低ラインは5%)。画面の右側には、選んだ出品と「Eligible(送信対象)」の件数が表示されるので、送れる相手がいるかもここで分かります。
Message欄には最初から「Here's your chance to get this item at a great price!(この商品をお得な価格で手に入れるチャンスです!)」という定型文が入っていて、最大230文字まで書き換えられます。そのままでも送れますが、次の章の英文例のように一言添えると印象が良くなります。また「Allow counteroffers」にチェックを入れると、バイヤーがこちらのオファーに逆提案(カウンター)を返せるようになり、交渉の入口が広がります。
「Send automated offer」にチェックを入れると、今後その出品に興味を示したバイヤーにも同じ内容のオファーが自動で送られます。期間はDurationのプルダウンで7日・30日・60日・90日・1年から選択。毎日手動で送る手間が消えるので、初SOLDを作りたい時期は「30日」あたりで仕込んでおくのが手軽です。設定できたら送信ボタンを押すだけ。完了すると「Offers sent」の緑のバナーが表示され、自動オファーが有効になったことが確認できます。
Send Offerは送っても費用はかからず、断られてもペナルティはありません。だから初SOLDを作りたい時期は、ウォッチャーが付いたら送る、を習慣にしてためらわず使うのが正解です。割引率は最低ラインの5%だと「気持ち程度」に見えやすいので、利益が残る範囲で10%前後を目安に、商品ごとに調整します。ここでも受けの設定と同じで、先に損益分岐を知っていることが前提です。なお、カートに入っている商品は、入れられてから2日以上経つとオファー送信の対象になります。「カートに入れたのに買わない人」こそ、Send Offerがいちばん刺さる相手です。
そのまま使える英文メッセージ例
Send Offerとカウンターオファーには短いメッセージを添えられます。長文は不要で、感じの良い定型文で十分です。そのまま使える型を2つ置いておきます(英語テンプレート集もあわせてどうぞ)。
Thank you for your interest in this item. I would like to offer you a special price. This offer is valid for a limited time only, so please don't miss it. Feel free to ask me any questions.
(この商品に興味を持っていただきありがとうございます。特別価格をご提案します。期間限定のオファーですので、お見逃しなく。ご質問があればお気軽にどうぞ。)
Thank you for your offer. This item is in very good condition, so this counteroffer is the best price I can accept. I hope we can make a deal.
(オファーをありがとうございます。状態の良い商品のため、このカウンターオファーがお受けできる精一杯の価格です。お取引できれば嬉しいです。)
初SOLDを作るオファー戦略チェックリスト
出品しただけで待つのをやめて、オファーを受けて・送って・打ち返す。この一連の動きができるようになると、出品は「置いておくもの」から「動かすもの」に変わります。SOLD積み上げ戦略とPromoted Listingsにオファーを組み合わせれば、初心者が最初の数件を作る道具は揃います。最後に、今日の要点をチェックリストにまとめます。
- 商品ごとに損益分岐点(仕入れ+送料+手数料で利益ゼロの金額)を計算したか
- 出品時にPRICING欄のAllow offersをONにし、Minimum offer(自動拒否ライン)を必ず入れたか
- Auto acceptには「即決されて惜しくない金額」を入れたか
- オファーの通知が来たら96時間待たずその日のうちにAccept・Counter・Declineのどれかを返しているか
- ウォッチャーが付いた出品にSend Offerを送っているか(目安は利益が残る範囲で10%前後の割引)
- オファーやカウンターに短い英文メッセージを添えているか
- 値付けの時点で、交渉で下がる分の余白(1割ほど)を織り込んだか