先に結論:機材より、ルールと撮る順番
結論から書きます。商品写真のために最初に買うべき機材は、ありません。スマホと、窓際の明るい場所と、白い背景(模造紙や大きめの白布で十分)があれば始められます。撮影ブースや照明は、売れてから考えれば間に合います。
それより先に押さえるべきなのは、eBayが決めている写真のルールと、1商品につき何を撮るかのリストです。ルールを知らないと、良かれと思ってやった加工が検索順位を下げます。リストが無いと、毎回「何となく」で撮って、あとから「あの角度が無い」と撮り直しになります。
- 機材はスマホで十分。自然光+白背景から始める
- 写真は1出品24枚まで無料。最低500×500px、推奨は約1600×1600px(拡大表示が働く)
- 文字・ロゴ・透かしを写真に入れない。検索結果での表示に影響するとeBayが公式に明記している
- 中古品にメーカーの画像(ストックフォト)は使えない。現物を自分で撮る
- 撮るものは決まっている。正面・背面・側面・上からの4アングル+傷などの状態+付属品+サイズ感
- 傷は隠さず、大きく明るく撮る。それが返品と悪い評価をいちばん減らす
eBayの写真ルール:枚数・サイズ・やってはいけないこと
まず、eBayが公式に決めている要件です。写真は1出品につき24枚まで無料でアップロードできます。サイズは最低500×500ピクセル、推奨は約1600×1600ピクセル。1600px程度あると、バイヤーが写真を拡大してすみずみまで確認できるようになります。ファイル形式はJPEG・PNG・WEBP・HEICなど主要なものに対応していて、1枚あたり12MBまで。スマホで普通に撮った写真なら、サイズも形式もそのまま通ります。
次に、やってはいけないことです。ここは知らずに踏む人が多いところです。
写真に文字やロゴ、透かしを入れてはいけません。「送料無料!」の文字入れ、自分のショップロゴ、コピーライト表示。日本のフリマアプリでは普通の演出ですが、eBayは「バッジ・ロゴ・著作権表示・透かしなどを画像に加えると、検索結果での出品の表示に影響することがある」と公式に明記しています。つまり、良かれと思った加工が検索順位を下げる側に働くのです。写真は商品だけを写します。
中古品に、メーカーの公式画像やカタログ写真(ストックフォト)を使ってはいけません。これも公式のルールです。中古品のバイヤーが知りたいのは「この個体の状態」であって、新品時の姿ではありません。加えて、メーカーの画像の流用は知的財産(VeRO)の面でも危険です。写真は必ず、手元の現物を自分で撮ります。
何を撮るか:必須4アングル+状態+付属品
商品を前にしてから「どう撮ろうか」と考えるのではなく、撮るもののリストを先に決めておきます。基本のリストはどの商品でもほぼ同じです。
まず、必須の4アングル。①正面──商品全体が入った、いちばん状態の良い1枚。これが検索結果に並ぶ「商品の顔」になります。背景は白系の無地で、商品以外は写しません。②背面──裏側の状態、ラベル、シリアル番号。③側面──厚みと奥行き。④上から──全体の形と、セット内容を一度に見せられる角度です。
次に、状態を伝える写真。傷・スレ・汚れ・日焼けなど、マイナス要素こそ近づいて撮ります(詳しくは後の章で)。カメラやレンズなら、レンズ内のクモリやカビの有無が分かるカットも要ります。動く商品なら、電源が入った状態の1枚が信頼につながります。
最後に、付属品とサイズ感。箱・説明書・ケーブル・保証書などの付属品は、1枚に並べて撮ります。「写真に写っているものがすべて」という原則で見られるので、付属するものは必ず写し、付属しないものは写しません。大きさの分かりにくい商品は、定規やコインと一緒に撮ると誤解を防げます。
この基本リストで7〜10枚。枠は24枚あるので、まだ半分以上残っています。残りは商品のジャンルに応じて、バイヤーが気にする場所に使います。売れるものの記事で書いたとおり、日本のセラーの強みは「中古の状態の良さ」です。その強みは、写真の枚数でしか証明できません。
どう撮るか:自然光と白背景で十分
撮り方で差がつくのは、腕前ではなく光です。そして良い光は、買わなくても手に入ります。
場所は窓際、時間は日中。直射日光ではなく、レースのカーテン越しくらいの柔らかい光がいちばんきれいに写ります。光は商品の斜め前か横から当たる位置に商品を置き、影が強く出るときは、反対側に白い紙を立てて光を返してやると影が薄まります。
背景は白の無地。模造紙を壁から机へゆるくカーブさせて敷けば、境目のない背景になります。eBay公式も、基本は白系の背景を勧めています(ジュエリーのような反射の強い商品だけは、濃い色の背景のほうが映えることがあります)。
スマホ側の設定は3つだけ。①グリッド線を表示して水平を取る。②画面を長押しして明るさを固定(AE/AFロック)し、少し明るめに調整する。③レンズは標準の1倍を使う(広角0.5倍は形が歪みます)。フラッシュは色が不自然になるので使いません。手ブレが気になるなら、数千円のミニ三脚を最初の投資にしてもいいでしょう。撮った写真は、出品フォームのPHOTOS & VIDEO欄へスマホからそのままアップロードするか、PCへ送ってから上げます。
- 窓際・日中・柔らかい光で撮る(直射日光とフラッシュは使わない)
- 白い無地の背景に商品だけを置く(模造紙をカーブさせると境目が消える)
- グリッド線ONで水平垂直を取る
- 長押しで明るさを固定し、気持ち明るめに
- レンズは1倍。広角は歪むので使わない
- 影が強いときは白い紙を反対側に立てる
傷は隠さない。大きく、明るく撮る
最後に、いちばん大事な話をします。傷・汚れ・欠けは、隠さずに撮ります。それも、遠くから小さくではなく、近づいて、明るく、ピントを合わせてです。
もったいなく感じるかもしれませんが、順序立てて考えると答えは1つです。傷を写真に載せて買ったバイヤーは、届いた商品の傷を見ても驚きません。納得して買っているからです。逆に、傷を隠して売れたときは、届いてから必ず気づかれます。その先にあるのは「説明と違う」という返品リクエストや悪い評価で、返送料や返金で失う金額は、傷を正直に載せて少し安く売る差額より、ほぼ確実に大きくなります。
さらに、正直な写真は争いになったときの証拠でもあります。「商品説明と違う」と申し立てられたとき、セラーを守るのは出品時の写真と説明の正確さです。すみずみまで写した写真は、売るためだけでなく、守るためにも働きます。
書き方の面では、傷の写真にはCondition description(状態の説明文)を添えて、どこにどんな傷があるかを言葉でも伝えます。「写真の3枚目に写っているスレ」のように、写真と説明文を対応させると親切です。
- 傷を見て買ったバイヤーは届いてから驚かない。返品と悪い評価がいちばん減る
- 隠した傷は必ず届いてから見つかる。返送料と返金は、正直に売る差額より高くつく
- すみずみまで写した写真は、「説明と違う」と申し立てられたときの証拠になる
- 傷の写真には状態の説明文を対応させる(どこに・どの程度・何枚目の写真か)
- 機材はスマホで十分。最初の投資は不要、あるならミニ三脚程度
- 公式ルールは24枚無料・最低500×500px・推奨1600×1600px。スマホの写真ならそのまま通る
- 文字・ロゴ・透かしは入れない(検索結果での表示に影響と公式明記)。中古品にメーカー画像は使えない
- 撮るものは4アングル+状態+付属品+サイズ感で7〜10枚。残りの枠は状態の良さの証明に使う
- 撮り方は昼の窓際+白背景+1倍レンズ+明るさ固定。夜の室内灯では撮らない
- 傷は近づいて明るく撮り、状態の説明文と対応させる。正直な写真は売る力であり、守る証拠でもある
写真は最初の信頼をつくる
海外のバイヤーから見ると、日本のセラーの商品は「状態が良く、説明が正確」という信頼があります。その信頼を、個々の出品で目に見える形にするのが写真です。明るく、すみずみまで、正直に。この3つを守った写真は、高いカメラで撮った雰囲気の良い写真より、確実に売る力があります。
今日撮るところから始めるなら、順番はこうです。昼の窓際に白い紙を敷き、リストどおりに4アングルと状態と付属品を撮って、出品フォームに並べる。タイトルとItem Specificsが検索で見つけてもらうための入力なら、写真はクリックされたあと、買うかどうかを決める材料になります。