— ある日の岐阜の仕事場、午後 —
おかあさんわたしがやっていた頃も、出品のたびに送料や返品の条件を入力していた記憶がある。あれ、今はテンプレート化できるということ?
おかあさん
おとうさん
おとうさんそう。Business Policies(ビジネスポリシー)を使えば、「支払い」「返品」「配送」の3つを先にテンプレートとして作っておいて、出品のたびにプルダウンで選ぶだけで済むようになる。今日は仕組みの中身と、最初につまずきやすい部分、それからFree Returnsを付けるかどうかの判断の仕方まで、ひとつずつ整理するよ。

先に結論:3つのポリシーで出品作業を短くする、の中身

— この記事の全体像

結論から書きます。Business PoliciesはPayment・Return・Shippingの3つのテンプレートを先に作っておく仕組みです。1度作れば、出品のたびに毎回同じ内容を入力する工程が無くなり、プルダウンで選ぶだけになります。

最初のつまずきどころは、Shipping Policyの「Domestic」が自分の国のことではないという点です。ebay.comが米国のサイトであることを基準に区分が決まるため、日本のセラーにとって「米国向け」がDomestic側に入ります。ここを取り違えると、いちばん大事な米国向けの設定を間違った側に入れてしまいます。

もう1つ、Return Policyで「Free Returns(返送料セラー負担)」を付けるかどうかは、TRS Plus(FVF 10%割引)の条件と関わってきます。ただし10%引かれるのは手数料そのものであって、価格が10%安くなるわけではありません。この記事では、その差を数字で計算する方法まで扱います。

— Answer
この記事の結論
  • Business PoliciesはPayment・Return・Shippingの3部品。使う前にOpt in(有効化)が必要
  • 「Domestic」=自分の国ではなく、ebay.comを基準にした米国向け。日本のセラーにとって米国向け発送はDomestic側に入る
  • ハンドリングタイムと発送除外国の決め方は別記事(守りの設定まとめ)に任せ、この記事ではポリシーの枠組み自体を扱う
  • TRS Plus(FVF 10%割引)で実際に浮く額は、価格のおよそ1.36%程度。Free Returnsの返送コストと比べて判断する
  • ポリシーは3〜5個ほど作り、内容が一発で分かる名前を付けておく

事前準備:Business Policiesを有効化する(Opt in)

— 最初の壁は「有効化」

Business Policiesはアカウント作成時点では無効になっています。使うには、最初に一度だけOpt in(有効化)の手続きが必要です。

— Opt in手順
機能を有効化する

下のボタンからオプトインページにアクセスし、画面の「Opt in」または「Get started」ボタンをクリックすれば有効化完了です。

  • 有効化メッセージが表示されればOK
  • 有効化後は、Account → Site preferences → Selling preferences の中にメニューが表示される
  • 有効化の反映までに数分〜数時間かかることがある
Business Policiesは3つの部品でできている図解。Payment Policyは支払い方法でManaged Payments前提でほぼ自動。Return Policyは返品の受け付け方。Shipping Policyは配送方法と発送除外国。有効化(Opt-in)をしてから3つを作ると、出品のたびにプルダウンで選ぶだけで済むようになる
図:Opt inのあと、3つのテンプレートを作れば出品作業が短くなる

最初につまずく所:「Domestic」はebay.comを基準にした「米国向け」

おかあさんDomestic Shippingって、名前からすると日本向けの発送のことだと思ってしまうけれど、違うということ?
おかあさん
おとうさん
おとうさんまさにそこが誤解しやすい所なんだ。ebay.comは米国のサイトだから、「Domestic」は米国内、そして米国以外から米国への発送を指すんだよ。だから日本のセラーにとって、いちばん大事な米国向けの設定はDomestic Shippingの側に入る。逆に、日本や欧州など米国以外への発送は、自分の母国向けであってもInternational Shippingの側になる。
DomesticとInternationalの区分は自分の国ではなくebay.comを基準に決まる図解。日本のセラーから米国のバイヤーへの発送はDomestic Shippingに入る。日本のセラーから米国以外(日本国内やヨーロッパなど)のバイヤーへの発送はInternational Shippingに入る
図:Domestic/Internationalは「自分の国」ではなく「ebay.comの国」が基準
— Answer
Domestic/Internationalの中身
  • Domestic Shipping:米国内、および米国以外の国から米国への発送。日本のセラーの主戦場はここ
  • International Shipping:米国以外への発送。カナダ・欧州・そして日本国内への発送もここに含まれる
  • 両方に配送方法・送料・ハンドリングタイムを設定できる。使わない側は空欄のままでよい

Shipping Policyの作り方:ハンドリングタイムと除外国は別記事へ

— 役割分担

Shipping Policyでは、配送方法・送料に加えてハンドリングタイム(発送までの日数)発送除外国(Exclude shipping locations)も設定します。この2つは「守れる約束だけをバイヤーに見せる」という考え方が軸になり、単独でも記事1本分のボリュームがあるため、eBayハンドリングタイムと発送除外国【守りの設定まとめ】に譲ります。この記事では、Shipping Policyという枠組み自体の作り方だけを扱います。

— Recommend
初期の配送方法(簡易版)
  • Domestic(米国向け):CPaSS SpeedPAK Economy+クーリエ(FedEx・DHL経由)の2本立て。使い分けの基準は国際配送の使い分けの記事を参照
  • International(米国以外):同じくCPaSS経由で設定。地域ごとの配送方法はダッシュボードで確認
  • ハンドリングタイム・発送除外国:守りの設定まとめの手順どおりに決める

Return Policyの決め方:30日+Free Returnsは「元が取れるか」で判断する

— eBayが推奨する設定

eBayが推奨するのは30日返品+Free Returns(返送料セラー負担)です。これは後で説明するTRS Plus(FVF 10%割引)の条件のひとつでもあります。

Return Policyの基本設定
  • Domestic returns:Returns Accepted(受付なしは購入の決め手・露出の面で不利になりやすいとされる)
  • Return period:30日(TRS Plusの条件)
  • Refund method:Money Back
  • Return shipping:Seller pays(Free Returns)=TRS Plusの条件
  • International returns:戦略次第(任意)
おかあさん手数料が10%も引かれるなら、返送の送料くらいすぐに元が取れそうなものだけれど。
おかあさん
おとうさん
おとうさんそこが誤解しやすいところなんだ。10%引かれるのは手数料そのもの(FVF約13.6%)であって、価格の10%が浮くわけじゃない。計算すると、実際に浮く額は価格のおよそ1.36%程度にしかならない。米国からの返送料実費は$30〜80ほどかかることもあるから、低単価品ではむしろ足が出る可能性がある。次の章で、実際に計算してみよう。

TRS Plus(FVF 10%割引)の条件と、Free Returnsが元を取れる価格帯

TRS Plus(FVF 10%割引)の条件
  • Handling time:1営業日
  • Returns:30日以上+Seller pays return shipping(Free Returns)
  • セラーレベル:Top Rated Seller
— 浮く額と返送コストを、同じ土俵で比べる

TRS Plusの「FVF 10%割引」は、算出された手数料の金額そのものが10%割引されるという意味です。FVFがおよそ13.6%だとすると、浮く額は「価格 × 13.6% × 10%」=価格のおよそ1.36%にしかなりません。この浮く額は、すべての販売に対してかかります。

一方でFree Returnsのコストは、返品が起きた時だけ発生します。期待コストは「返品率 × 返送料実費」で見積もれます。この2つを比べて、損益分岐点となる価格を逆算できます。

Free Returnsが元を取れるかの計算式の図解。TRS Plusで浮く額は商品価格かけるFVF率かける10パーセントで、1.36パーセント程度に過ぎない。返品1件あたりの返送料実費は30ドルから80ドルほど。損益分岐点は返品率かける返送料実費を、FVF率かける10パーセントで割った価格。商品価格がこれより高いカテゴリーほどFree Returnsの採算が合いやすい
図:浮く額(価格×1.36%)と期待コスト(返品率×返送料)を比べて判断する
— 計算式
損益分岐点になる価格の求め方

損益分岐点の価格 =(返品率 × 返送料実費)÷(FVF率 × 10%)
例:返品率3%・返送料$50と仮定すると、期待コストは1件あたり約$1.50。$1.50 ÷ 1.36% ≒ 約$110が目安になります。

  • この例では、価格が$110を超えるあたりから、浮く額が期待コストを上回りやすくなる
  • 返品率・返送料実費は自分の実績に置き換えて計算し直すこと(一般値ではない)
  • 低単価品を多く扱うなら、TRS Plusを割り切ってFree Returnsを外す選択もアリ

複数ポリシーの使い分け

— ジャンル・戦略に応じて使い分ける

ポリシーは1個ではなく、3〜5個ほど作っておくと、商品によって使い分けられます。

  • US-Standard:標準的な米国向け(30日返品+Free Returns)
  • US-NoReturn:低単価品で返品受付なし、または返送料バイヤー負担
  • US-Heavy:重量物で送料を高めに設定
  • Worldwide:米国以外の国も含めた多国向け
  • Vintage-NoReturn:中古品で「No Returns」設定

命名は「US-FreeReturn-30days」のように、後で見て一発で内容が分かる形にしておくと、出品時に迷いません。

まとめ:枠組みを1度作れば、あとは選ぶだけ

— 結びに

Business PoliciesはPayment・Return・Shippingの3構成。Opt inで有効化し、「Domestic=米国向け」という区分の基準を押さえたうえで作れば、出品のたびに同じ入力を繰り返す工程が無くなります。Free Returnsを付けるかどうかは、感覚ではなく浮く額と返送コストの計算で決めてください。

おかあさんDomesticという名前だけで自分の国だと思い込んでいたら、いちばん大事な設定を間違えるところだったのね。名前と中身が違うことがある、というのを覚えておく。
おかあさん
おとうさん
おとうさんまとめよう。Business PoliciesはPayment・Return・Shippingの3つ。Opt inで有効化し、Domesticは自分の国ではなくebay.com基準の「米国向け」だと覚えておく。Free Returnsは感覚ではなく、浮く額(価格の約1.36%)と返送コストの計算で決める。ハンドリングタイムと発送除外国の細かい決め方は、守りの設定まとめの記事で続けて読んでほしい。
おかあさん — おかあさんのひとこと わたしがやっていた頃は、出品のたびに同じ内容を入力し直すのが当たり前だと思っていました。テンプレートを先に作っておけばよかったのだと、今日の話を聞いて気づきました。名前だけで中身を決めつけずに、まず仕組みを確かめる。それが結局いちばんの近道なのだと思います。