— 2026年8月、岐阜の仕事場、おとうさんのSeller Hub画面を一緒に見ながら —
おかあさんおとうさん、これ、おとうさんが出しているシャツの出品、ウォッチャーが8人もついているのに、もう2か月売れていないのね。こういうときって、何かできることはあるの?
おかあさん
おとうさん
おとうさん値段を直接書き換えるという手もあるけど、eBayには値引きの仕組みが2つ用意されているんだ。1つは対象商品を選んで値引き中だと表示するセール(Sale Event)、もう1つは割引コードを配るクーポン(Coded Coupons)。どちらもeBayストア契約者が使える機能で、前回の記事で扱ったDiscounts Manager(値引き機能をまとめて管理する画面)の仲間なんだ。今日はこの2つの設定方法と使い分けを整理しよう。

先に結論:セールもクーポンも、追加料金なしで使える

— 結論は「追加料金はかからない。ただし値引き分は自分の売上から負担する」

結論から書きます。eBayストアに契約していれば、セールもクーポンも追加の料金なしで作れます。eBayがコード発行や機能そのものにお金を取ることはありません。ただし、値引いた金額はeBayが肩代わりしてくれるわけではなく、自分の売上から負担することになります。「お得な機能があるなら使わない手はない」ではなく、「いくら値引くかは自分で決める、実質的な値下げ」だという前提を先に押さえておいてください。

もう1つ、最初に区別しておきたいのがセールとクーポンは見える相手が違うという点です。セールは対象の商品を見た人・検索結果に出た人、全員に値引き後の価格が見えます。クーポンはコードを知っている、または受け取ったバイヤーにだけ働く仕組みです(公開設定にすれば、こちらもバナーで見せられます)。「不特定多数に見せて反応を上げたい」のか「特定の相手にだけ配りたい」のかで、選ぶ機能が変わります。

— Answer
この記事の結論
  • eBayストア契約者なら、セールもクーポンも追加料金なしで作れる(未契約だと作成画面自体が使えない)
  • 対象になるのは固定価格(Buy It Now)の出品だけ。オークション形式の出品には使えない
  • 値引き分は自分の売上から負担する。eBayが負担してくれるわけではない
  • セール=対象商品を見た人全員に見える値引き。クーポン=コードを知っている人にだけ届く値引き(この違いは任意の好みではなく、機能の仕組みそのものの違い)

セールとクーポンの違い:誰に見えるか、どんな場面で使うか

— 名前は似ていないけれど、どちらも「値引きの見せ方」を選ぶ機能

セール(正式にはSale Event、値引きを設定する画面の名前からMarkdown Managerとも呼ばれます。マークダウンは「値下げ」という意味の英語です)は、元の価格に取り消し線を引き、その横に割引後の価格を並べて表示する機能です。対象は個別の商品・eBayのカテゴリー・自分のストア内カテゴリー・在庫全体から選べます。

クーポン(Coded Coupons)は、割引コードを自分で決めて発行する機能です。「Private(非公開)」にすれば、メールやSNSで直接渡した相手にだけコードが伝わります。「Public(公開)」にすると、対象商品の検索結果・商品ページ・チェックアウト画面・ストアのトップにバナーとして表示され、コードを知らない新規のバイヤーにも見えるようになります。

セールとクーポンの違いを比較した図解。セール(Sale Event/Markdown Manager)は対象の商品を見た人・検索結果に出た人全員に値下げが見える。元の価格に取り消し線、その横に割引後の価格が並んで表示される。対象は個別商品・カテゴリー・在庫全体から選べる。値引き分は自分の価格から下がりeBayへの追加料金はかからない。向く場面は在庫を早く動かしたい、検索結果で値下げを目立たせたい場合。クーポン(Coded Coupons)はコードを知っている・受け取ったバイヤーにだけ届く。公開設定にすると検索結果や商品ページにバナーで表示もできる。割引額・最低購入金額・使える人数の上限を自分で決められる。値引き分は自分が負担しコード発行自体にeBayへの追加料金はない。向く場面は一度買った人にもう一度買ってほしい、SNSで告知したい場合。どちらもeBayストア契約者専用、固定価格+Buy It Now出品のみが対象
図:セールは「全員に見える値引き」、クーポンは「狙った相手に配る値引き」
おかあさんクーポンを配ったら、その割引の分はeBayが負担してくれるの?
おかあさん
おとうさん
おとうさんそこは誤解しやすいところなんだ。eBay公式の説明は「コードを発行する仕組みの利用料が無料」という意味で、割引そのものはこちらの売上から負担するんだよ。1,000円の商品に20%オフのクーポンを使われたら、800円で売ったのと同じことになる。予算の上限は自分で設定できるから、そこで使いすぎには歯止めをかけられるけどね。
— eBay公式の説明(原文と日本語訳)

eBay coupons are free to use for sellers — there is no charge per buyer applying the discount.
(eBayのクーポンはセラーにとって無料で使える。バイヤーが割引を適用するたびに料金がかかることはない。)

「無料」なのはコードを発行する仕組みの利用料のことで、割引された金額そのものは、eBayではなく自分の売上から負担します。混同しないよう注意してください。

セール(Sale Event)の設定方法

— 実際の画面:Seller Hub → Marketing → Summary

作成画面へは、Seller Hub → Marketingタブ → Summaryの「Marketing tools」から、Sale eventのCreate sale eventを選んで進みます(画面右上のCreate promotionからも同じ画面に入れます)。同じ場所からクーポンも作成できます。

Seller HubのMarketingタブ内、Summary画面の実際のスクリーンショット。上部ナビゲーションのMarketingタブと、画面右上のCreate promotionボタンに赤枠。下段のMarketing toolsには、Volume pricing・Sale event・Coupon・Automated offerの4つのカードが並び、Sale eventのCreate sale eventリンクとCouponのCreate couponリンクに赤枠
図:Seller Hub → Marketing → Summary。Sale eventとCouponは同じ画面から作成する
— 設定する項目

①値引きの種類と数値:Typeのドロップダウンから選びます。実際の画面では「Percentage off each item(商品ごとに一定の割合を割り引く)」が例として表示され、Valueの欄に割合(例:5%)を入力します。②期間:開始は「Start now(今すぐ)」か日時指定、終了日はデフォルトで開始日の30日後が自動で入りますが、自由に変更できます。画面には「同日に終わる別のセールがある場合は、次のセールを始めるまで2時間以上空けることを推奨する」という注記もあります。③対象の在庫:Manual(個別の商品を自分で選ぶ、最大2,000点まで)か、Rule-based(価格帯・商品の状態などの条件を設定すると、条件に合う出品が自動で追加され続ける)のどちらかを選びます。④名前(Offer name):自分の管理用の名前です。ここはバイヤーには表示されません(画面にも「Buyers can't see this title, but it helps track your discounts.」と明記されています)。空欄のままだと「Sale event ending 終了日」のような名前が自動で入ります。

eBay Seller HubのCreate sale event画面の実際のスクリーンショット。TypeがPercentage off each item、Valueが5%に設定されている行に赤枠。Include skipped items when they qualifyとKeep items in this sale and block revisions for price increasesの2つのチェックボックスに赤枠。Duration欄のStart date・End date・Start time・End timeに赤枠。DetailsのOffer name欄(Sale event ending Sep 17, 2026)に赤枠
図:Create sale event画面。Type・Value、2つのチェックボックス、期間、Offer nameを設定する
— 注意
設定してすぐには反映されない。チェックボックスの意味も確認する
  • 画面の注記どおり、設定してから実際の商品ページに反映されるまで最大12時間かかることがある。直前に慌てて設定しても間に合わないことがある
  • 「Include skipped items when they qualify」:条件に合わずスキップされた商品も、後から条件を満たせば自動でセールに追加する設定
  • 「Keep items in this sale and block revisions for price increases」:セール期間中、対象商品の価格を上げる編集をブロックする設定。値上げしてから割り引く見せかけの値引きを防ぐ仕組みと考えられる
  • 公式の解説は、セールをストア全体ではなく、特定のカテゴリー・ブランド・テーマでまとまった商品群に絞って使うことを勧めている(ストア丸ごとの値下げは「常に安売りしている店」という印象につながりやすいため)
おかあさんセールを設定しておけば、始まりと終わりの日を決めた分だけで、あとは自動で元の値段に戻るということ?
おかあさん
おとうさん
おとうさんそのとおりだよ。しかも見た目の効果も違う。ただ価格を書き換えただけだと、バイヤーには「そういう値段の商品」としか見えない。セールとして設定すると、元の価格に取り消し線が引かれた状態で、今だけ安いということが一目で伝わるんだ。値引き額が同じでも、見え方が違えば反応も変わってくる。

クーポン(Coded Coupons)の設定方法

— 実際の画面:セールと同じMarketing Summaryから

作成画面へは、セールと同じSeller Hub → Marketingタブ → Summaryから、CouponのCreate couponを選んで進みます。設定する項目は次のとおりです。

①公開範囲(Coupon visibility):PublicかPrivateかを選びます。②割引の種類:Typeのドロップダウンから選びます。実際の画面では「Extra % off(例:Extra 20% off)」が例として表示され、Discountの欄に割合(例:20%)を入力します。公式の解説では、これ以外に金額指定(例:「50ドル以上の購入で10ドル引き」)や、複数点セット割引(例:「1点購入でもう1点が半額」。英語ではBuy One Get Oneの頭文字でBOGOと呼ばれることもあります)の型も用意されているとされています(ドロップダウンの全項目は今回未確認)。③期間:セールと同じくStart date・End date・Start time・End timeを設定します。④コード:Coupon codeの欄に自分でコードを決めて入力します(最大15文字・全セラーの中で重複できません)。画面には「Suggested coupon codes」として候補のコードがいくつか自動で提案され、気に入らなければ更新ボタンで別の候補に切り替えられます。

eBay Seller HubのCoupon作成画面の実際のスクリーンショット。Coupon visibilityのPublic/Private選択に赤枠。TypeがExtra % offになっている行に赤枠。DiscountのExtra 20% off欄に赤枠。Duration欄のStart date・End date・Start time・End timeに赤枠。Coupon code欄(HIGASHI2026VG)に赤枠。右側Select itemsのManual/Rule-based切り替えタブと、3 items in ruleと表示された対象件数のボックスに赤枠
図:Coupon作成画面。公開範囲・割引の種類・期間・コード、右側で対象商品を設定する
— 対象商品の選び方は、セールと考え方が同じ

クーポンもセールと同じくManual(個別に選ぶ)とRule-based(条件で自動的に追加する)から選びます。実際の画面では、Rule-basedで「Selected rule: All inventory」を選び、Price range(価格帯)・Item condition(商品の状態)で絞り込めることが確認できました。クーポンのRule-basedは最大20,000点まで対象にできるため、セールのManual(最大2,000点)よりも広い範囲に一括で適用できます。

この下には「Details and coupon limits」という詳細設定の折りたたみ欄があり、最低購入金額や1人あたりの利用回数の上限などを設定できると案内されています(今回は未展開のため、項目名までは確認できていません。詳しい条件は実際に開いて確認してください)。

おかあさんPrivateにしておけば、常連さんにだけこっそり配れるということ?
おかあさん
おとうさん
おとうさんそういう使い方ができるんだ。一度買ってくれたバイヤーにメッセージでコードを伝えたり、SNSのフォロワーに向けて告知したり。逆にPublicにすれば、まだ買ったことのない人の目にも触れる。誰に見せたいかで公開範囲を選ぶ、というのがクーポンならではの使い方だね。

どちらを使うか:3つの場面で選ぶ

— 必須の条件はここまで。ここから先は好みと状況で選ぶ「参考」

ここまでのストア契約・固定価格出品・値引き分は自己負担という3点は、使う前提として必ず押さえておく必要があります。一方、ここから先の「どちらを選ぶか」は、正解が1つに決まっているわけではない、状況に応じた目安です。

どちらを使うかを3つの場面で示した図解。1つ目、動きの遅い在庫を早く売りたい、検索結果で値下げを目立たせたい場合はセール(Sale Event)を使い、対象商品やカテゴリーを絞って作る。ストア全体を一度に値下げすると安売り店に見えるためeBay自身も範囲を絞ることを勧めている。2つ目、一度買った人にもう一度買ってほしい、SNSで告知したい場合はクーポン(Coded Coupons)を使い、プライベート設定で狙った相手にだけ配れる。公開設定にすれば新規のバイヤーにもバナーで見せられる。3つ目、同じ商品をまとめて複数買ってもらいたい場合はVolume pricing(数量割引)を使う。前回の記事で扱ったDiscounts Managerの機能でセールやクーポンとは別の設定
図:やりたいことから逆算すると、どの機能を使うかが決まる
— 迷ったときの目安

動きの遅い在庫を早く売りたい、検索結果で値下げを目立たせたいならセール。一度買ってくれた人にもう一度買ってほしい、SNSのフォロワーに告知したいならクーポン。同じ商品をまとめて複数買ってもらいたいなら、前回の記事で扱ったVolume pricing(数量割引)という、セール・クーポンとは別の機能が向いています。3つとも併用できるので、状況が複数当てはまるなら組み合わせてかまいません。

▶ 動画でも:eBay副業で結果を出すための実践的なポイントをオガタが解説しています。値引きの使い方も、そうした実務の一つです

コピペ用:クーポン告知の英文テンプレート

— Publicクーポンの説明文・SNS告知に使える文例

クーポンをPublicで作成するときの説明文と、SNSで告知するときの文例です。コード・割引率・最低購入金額・期限の部分を自分の設定に置き換えて使ってください。

Use code [CODE] for [XX]% off your order of $[XX] or more! Valid through [End Date]. Thanks for shopping with [Shop Name]!

日本語訳:コード「[コード]」を使うと、[金額]ドル以上のご注文が[割引率]%オフになります。有効期限は[終了日]まで。[ショップ名]でのお買い物、ありがとうございます!

セール・クーポンを設定する前のチェックリスト

設定前のチェックリスト
  • eBayストアに契約しているか(未契約だとMarketingタブの作成画面自体が使えない)
  • 対象にしたい出品が固定価格(Buy It Now)になっているか(オークション形式は対象外)
  • 値引き分は自分の売上から負担するという前提で、割引率・割引額を決めたか(利益が残る水準か、利益計算の記事で確認しておくと安心)
  • セールはストア全体ではなく、動きの遅い在庫やテーマのまとまりに絞って設定したか
  • クーポンはPrivate(狙った相手にだけ)かPublic(新規バイヤーにも見せる)のどちらが目的に合っているか決めたか
  • クーポンの予算上限・1人あたりの利用回数を設定し、使われすぎない歯止めをかけたか

まとめ:値引きは「書き換える」ものから「設定する」ものに変わった

— どちらも、値引き分は自分の売上から負担するという前提を忘れない

セールとクーポンは、どちらもeBayストア契約者が追加料金なしで使える値引きの見せ方です。セールは対象商品を見た人全員に、クーポンはコードを知っている人だけに届きます。値引き分は自分の売上から負担するという前提を忘れずに、動きの遅い在庫にはセールを、リピーターやSNSのフォロワーにはクーポンを、と場面で使い分ければ、価格を都度手で書き換えるより手間も少なく、バイヤーへの見え方もはっきりします。

おかあさんさっきのおとうさんのシャツ、セールにするの?
おかあさん
おとうさん
おとうさんそうだね。ウォッチャーが8人もついているのに動いていないなら、見られてはいるということだから、セールを試す価値がある。期間を1週間くらいに区切って、様子を見てみよう。
おかあさん — おかあさんのひとこと 値段を下げること自体は同じでも、見せ方まで用意されていると知って、少し驚きました。わたしがやっていた頃は、値下げは「負け」のような気がして踏み切れなかったことを覚えています。期限を決めて、堂々と「セール中」と見せられるなら、もっと気軽に試せていたかもしれません。