— ある週末の午後、岐阜の自宅の押し入れの前 —
おかあさんこの間、息子の使わなくなったゲーム機が押し入れから出てきたの。前に「家にある不要品から始めるといい」っていう記事を読んだ気がするけど、実際にはどこをどう見ればいいの?
おかあさん
おとうさん
おとうさんいいところに気づいたね。「家にある不要品から始めよう」という話はジャンルの一覧までで終わっていることが多いんだ。今日は続きをやる。家のどこを見るか、見つけた物をどう選ぶか、出品前に何を確認するか。ここまで具体的に決めておけば、今日中に最初の候補を1つ見つけられるよ。

先に結論:家にあるものは、基本的にそのまま売っていい

— 迷わないための、最短ルート

結論から言います。家にある不要品は、基本的にそのまま売って大丈夫です。特別な資格も許可もいりません。難しく考えず、出す前に確認するのは次の2つだけです。

①古いものなら、素材だけ確認する。象牙やべっ甲など、輸出に手続きが必要な素材が使われていないかです(詳しくは後述します)。②税金がかかるか心配な方もいると思いますが、家の不要品を売るだけなら基本的にかかりません。この2つさえクリアすれば、あとは自由に選んでかまいません。

候補が何個も見つかって迷ったときだけ、次のことを思い出してください。小さくて軽く、壊れにくく、偽物や権利の心配がなく、状態を正直に説明でき、似た物が実際に売れている——こういう物のほうが、初めての出品ではうまくいきやすいです。難しいルールではなく、迷ったときの目安だと考えてください(もっと詳しく知りたい方はeBayで売れるものの記事で解説しています)。

— Overview
この記事で決めること
  • 出す前に確認するのは「素材」と「税金」のたった2つだという結論
  • 家の中のどこを見れば候補が見つかるか(見落としやすい6か所)
  • 迷ったときの目安になる「売れやすい物の5つの特徴」
  • 古いものの素材の確認と、税金の心配がいらない範囲の詳しい説明
  • 候補が決まったあと、出品するまでの3ステップ

家のどこを見ればいいか:見落としやすい6か所

— リビングだけでは、まず見つからない

「家の中を探してみてください」とだけ言われても、リビングを見渡して終わってしまうことが多いです。不要品は、普段の生活動線から外れた場所にたまります。次の6か所を順番に見てください。

見落としやすい家の中の6か所を示した図解。1つめは押し入れ・クローゼットの奥で着なくなった服やバッグ、贈答品でもらった食器・小物。2つめは本棚・CD棚で読み終えた本、聴かなくなったCDやレコード、限定版の同梱物。3つめは子ども部屋・おもちゃ箱で遊ばなくなったゲーム機とソフト、卒業したキャラクターグッズ。4つめは季節家電・来客用品の収納で使わなくなった扇風機やヒーター、出番の減った来客用食器。5つめはやめた趣味の道具入れで使わなくなったカメラ・楽器・釣具、増えすぎた文房具。6つめは引き出しの奥・贈答品の箱で未使用の化粧品、封を開けていない贈答品
図:普段の生活動線から外れた場所ほど、不要品がたまっている

共通しているのは、使わなくなった時に「捨てるか売るか」を決める機会がないまま、そのまま収納の奥にしまわれ続けているという点です。

▶ 動画でも:この記事のテーマである「家にある不要品」の具体例を5つ紹介しています
— 動画で紹介している5つの定番アイテム

動画では、家にある不要品の具体例として次の5つを挙げています。①中古ゲーム機本体・ゲームソフト(DS・PSP・Switch周辺機器など、動作すれば箱なしでも可)、②ヘッドホン・イヤホンなどの音響機器・楽器(SONY・BOSE・Rolandなど日本ブランドは海外で人気)、③アニメ・キャラクターグッズ(人気キャラクターのフィギュアやぬいぐるみ、箱なしでも可)、④中古カメラ・レンズ(Canon・Nikonなど日本メーカーは世界的に需要あり)、⑤日用品・文房具・美容グッズ(フリクションペン・ヘアアイロンなど、まとめ売りもおすすめ)です。

先ほどの6か所と重ねると、①③は「子ども部屋・おもちゃ箱」、②④は「やめた趣味の道具入れ」、⑤は「引き出しの奥・贈答品の箱」に多く見つかります。動作しないものでも、状態を正直に書けば「現状渡し・ジャンク品」として出品できることがあります。ただし壊れやすいまま発送すると輸送中の破損につながるので、梱包はいつもより丁寧にしてください。

おかあさん6か所も回れば、何か見つかりそうね。見つかったものは、古そうなものでも、有在庫だから在庫切れの心配はないし、そのまま出しちゃっていいということ?
おかあさん
おとうさん
おとうさん在庫切れの心配がいらないのはそのとおりだけど、「古いから何でも出していい」は違うんだ。むしろ古いものほど、出す前に1つだけ確認してほしいことがある。素材だよ。

古いものは、まず素材を確認する

— 「古いから大丈夫」が、いちばん危ない

eBayの出品禁止商品とVeROの記事で書いたとおり、日本にはワシントン条約(CITES=絶滅のおそれのある野生動植物の取引を国際的に規制する条約)という輸出規制があります。対象になるのは象牙の印鑑や根付、べっ甲(タイマイという海がめの甲羅)のかんざしや眼鏡フレーム、革の中でもワニ革やヘビ革の財布・バッグ、珊瑚の装飾品などです。アンティークでも中古品でも対象になり、古さは免罪符になりません。むしろ古いものほど、こうした素材が使われている可能性が高いのです。

対象品は、事前に経済産業大臣から輸出承認証CITES輸出許可書の発給を受けなければ、海外へ送ることができません。「昔から家にあったものだから」という説明は通用しません。

— Caution
確認の手順は難しくない
  • 革製品なら、何の革か確認する。牛革・合皮なら問題ない。ワニ・ヘビ・トカゲなど爬虫類の革は要注意
  • 装飾品や小物は、素材の表示を確認する。べっ甲・象牙・珊瑚・毛皮・羽根が使われていないか
  • 分からなければ、調べる。それでも分からなければ、その1点は今回は出さない
  • 手続きが必要だと分かった場合は経済産業省の貿易管理の窓口に、刀剣や文化財に関わるものは都道府県の教育委員会や専門の買取店に相談する

売っても税金はかからないのか

— 「事業」ではなく「整理」だから

もう1つ、最初に不安になりやすいのが税金です。結論は、eBay輸出に開業届は必要かの記事で書いたとおり、家にあった生活用動産(=家庭で日常的に使っていた物)の売却による所得は非課税です。国税庁もネットオークション等の副収入について、生活に通常必要な資産の売却は課税されないことを明示しています(タックスアンサーNo.1906)。

つまり、家の不要品を整理して売っている段階では、金額がいくらになっても、開業届も確定申告も要りません。線が変わるのは、売るために仕入れを始めた瞬間からです。今回の記事の範囲は、あくまで「もう使っていない、家にあったもの」を売る話であり、その範囲では税金の心配は不要です。仕入れを始めるタイミングになったら、開業届の記事を改めて読んでください。

出す前に確認するのは実質2つだけと示した図解。1つめは古いものは素材を見るで、革・べっ甲・象牙・毛皮・珊瑚が使われていないか、ワシントン条約の対象なら経済産業大臣の輸出承認とCITES輸出許可書が要る。2つめは税金の心配は要らないで、家にあった生活用動産の売却による所得は非課税(国税庁タックスアンサーNo.1906)。仕入れて売るのとは違い、開業届も確定申告も要らない。2つとも問題なければそのまま出品してかまわない。迷ったときだけ、5つの条件(小さい・軽い・壊れにくい・偽物や権利の心配がない・状態を説明できる・売れた実績がある)を選び方の目安にする
図:素材と税金の2つを確認すれば、あとは出品してかまわない
おかあさんわたしが自分の使わなくなった着物や食器を整理して売っていた頃は、届も申告も要らなかった、ということね。あの頃はテラピークで似た商品の売れ行きを確かめてから出すくらいで、今日みたいに素材まで気にしたことはなかった。今はもっと確認することが増えているのね。
おかあさん
おとうさん
おとうさん確認することは増えているけど、確認さえすれば、あとは怖がらなくていいんだ。家の不要品には、もう1つ利点がある。無在庫と有在庫の話にもつながるんだけど。

家の不要品を選ぶと、有在庫の強みも手に入る

— 手元にあるものだけが持つ強さ

無在庫と有在庫はどっちで始めるかの記事で書いたとおり、eBayを始めたばかりの時期は有在庫で作るのが結論です。理由は、在庫切れが評価指標に直結してしまうからでした。家の不要品は、もともと手元にあるものなので、そのまま有在庫の条件を満たします。仕入れ先の在庫が急になくなる心配も、二重販売の心配もありません。

加えて、初期の出品リミット(月10品・合計500ドル)との相性も良いです。単価の高い仕入れ品を1点出すより、手元にある手頃な不要品を何点か並べるほうが、10品の枠を無理なく使い切れます。最初の数か月に必要なのは大きな利益ではなく、出品・梱包・発送・評価という一連の流れを経験する回数です。

出品するまでの3ステップ

— 候補が決まったら、この順番で進める

素材と税金の確認を通った候補が見つかったら、あとは次の3ステップです。

候補が見つかってから出品するまでの3ステップ
  • STEP 1:状態を確認し、写真を撮る。傷・汚れ・破損の有無、付属品の有無、電化製品なら動作確認。写真は複数アングルで5枚以上
  • STEP 2:eBayのSoldフィルタとProduct Research(旧Terapeak、eBay公式の無料リサーチツール)で、実際に売れた記録と価格を確認する。出品されている数ではなく、売れた数を見る
  • STEP 3:手数料と送料を引いた金額を確認してから出品する。売れることと、手元にいくら残るかは別の話。計算のしかたは手数料と利益計算の記事を参照
— 商品説明は、自分の言葉で

状態の説明文は、翻訳ツールに丸投げするより、自分が確認した事実をそのまま短く書くほうが伝わります。よく使う言い回しを型として置いておきます。

Used, in good condition. No major scratches or damage.(中古品、状態良好。目立った傷や破損はありません)
Tested and working. / Not tested, sold as-is.(動作確認済みです/未確認のため現状渡しです)
All original accessories included.(付属品はすべて元の状態のまま含まれます)

出品前の最終チェックリスト

— Final Check
出品ボタンを押す前に、この7項目
  • 革・べっ甲・象牙・毛皮・珊瑚など、ワシントン条約の対象になる素材が使われていないか
  • 迷ったときの目安「5つの条件」(小さい・軽い・壊れにくい・偽物や権利の心配がない・状態を説明できる・売れた実績がある)も参考にしたか
  • キャラクターグッズなら、正規品であることを確認したか(コピー品・海賊版は禁止)
  • 写真を5枚以上、複数アングルで撮影したか
  • Soldフィルタ・Product Researchで、実際に売れた記録を確認したか
  • 手数料と送料を引いた、手元に残る金額を試算したか
  • eBayの出品禁止商品ポリシーに該当しないか確認したか

まとめ:最初の1件は家の中から

おかあさんやることを並べると多く見えたけど、実際は「6か所を見て候補を探す」「素材と税金の2つだけ確認する」の2つだけなのね。5つの条件は、迷ったときに見ればいいだけだし。思っていたより、今日から始められそう。
おかあさん
おとうさん
おとうさんそのとおり。まとめると、①今日書いた6か所を回って候補を集める、②古いものは素材を、税金は生活用動産かどうかを確認する。この2つだけだ。あとは自由に出していい。迷ったときだけ、5つの条件を思い出せばいい。仕入れ代金は0円だから、気になったものはとりあえず出品してみて、売れなければ次を試せばいいんだ。リスクなく出品から発送までの流れを覚えられるのは、今この瞬間の家の中にあるものだけだよ。
おかあさん — おかあさんのひとこと わたしが最初に自分の着物を出品したときは、売れるかどうかも分からないまま、緊張しながらボタンを押したのを覚えています。今日の話を聞いて思うのは、あの緊張は仕方のないものだったけれど、確認すべきことさえ確認していれば、もっと安心して押せたのかもしれないということです。これから始める方は、まず家の中を6か所、歩いてみてください。それだけで、最初の1件はもう見えてくると思います。