— 2026年8月5日、岐阜の仕事場 —
おかあさんこの前教えてもらったTrafficの数字の話、さっそく毎週見るようにしているの。それはそれとして、そもそも忙しい月と静かな月があるっていう話、あれって対策すればどの月も同じくらい売れるようになるということ?
おかあさん
おとうさん
おとうさんそこは違っていて、売れ行きの波の多くは、自分の努力より先に「暦」で決まっているんだ。今日はアメリカの年間の需要カレンダーと、そこから逆算した仕込みのタイミング、そして僕らが扱っているジャンルとの掛け合わせまで整理するよ。

先に結論:売れる月・売れない月は暦で決まる。感覚で早合点しない

— この記事の全体像

結論から書きます。eBayの売上には、自分の出品や運用とは関係なく、暦だけで生まれる山と谷があります。アメリカの消費行動には、日本のカレンダーには無い・薄いイベントがいくつも含まれていて、それを知らないまま数字を見ると「急に売れなくなった」と早合点しがちです。

この記事は「急に売れなくなった時」の記事で書いた「市場側の要因(季節・競合・制度変更)は、自分の失敗ではない」という部分を、年間カレンダーとして具体化したものです。山がいつ来るかを先に知っていれば、谷を見ても慌てずに済みます。

もう1つ大事なのは、山は待っているだけでは取れないということです。「eBayで売れるもの」の記事で挙げた定番ジャンルも、季節と掛け合わせて仕込みの時期を前倒ししてはじめて、山の売上を実際に取れます。

— Answer
この記事の結論
  • 1年は大きく4つに分かれる。1〜3月(中くらいの山)・4〜6月(贈り物の山が3連続)・7〜9月(谷)・10〜12月(一年最大の山)
  • アメリカの確定申告還付(2〜3月)・イースター・母の日・父の日は、日本のカレンダーに無い・薄いイベントで、知らないと山に気づけない
  • 公式が勧める「ピーク前1か月に仕入れる」という目安は、手元に在庫がある前提の話。輸出セラーは検索に乗って実績が付くまでの1〜2か月も見込む必要がある
  • 谷の時期(7〜9月)は、売れない時期ではなく次の山の仕込みにあてる時期
  • 季節の傾向は「言われている」一般論。最後はテラピークと自分の実績で確認してから動く

米国の年間需要カレンダー:日本の感覚とズレる山

— まず4つに分けて眺める

eBayの主なバイヤーはアメリカを中心とした海外の消費者です。山と谷は、日本の生活実感ではなく、アメリカのカレンダーで動きます。ここが最初のつまずきどころで、日本人セラーが無意識に見落とす山がいくつもあります。

1〜3月は、お正月セールに続いてアメリカの確定申告の還付金が届き始める時期です。還付金を使った「ちょっと良いもの」への支出が増えると言われており、中くらいの山になります。4〜6月は、イースター・母の日・父の日という贈り物のイベントが3つ連続します。どれも日本の生活にはほぼ無い・薄い行事なので、存在自体を知らないと備えようがありません。7〜9月は行楽と新学期準備で消費が分散し、全体としては「鈍いと言われる」谷にあたります。そして10〜12月は、ハロウィンの助走からブラックフライデー・サイバーマンデーを経てクリスマス商戦に至る、一年でもっとも急な山です。

1年を4つの時期に分けた需要カレンダーの図解。1月から3月はお正月セールとアメリカの確定申告還付が重なる中くらいの山。4月から6月はイースター・母の日・父の日の贈り物需要が続く中くらいの山。7月から9月は行楽シーズンで消費が分散し全体には谷と言われる時期で仕込みにあてる。10月から12月はハロウィンからブラックフライデー・サイバーマンデー・クリスマスに向かう一年最大の山
図:1年を4つに分けて見る山と谷。10〜12月が一年で最も急な山
おかあさんアメリカの確定申告の還付金って、この前教えてもらった消費税の還付の話と同じもの?
おかあさん
おとうさん
おとうさんそれはまったく別の話だよ。ここで言っているのは、アメリカの個人が自分の所得税の還付を受け取って、それを買い物に使うというバイヤー側の話。以前消費税還付の記事で説明したのは、日本の輸出セラーが自分の消費税を取り戻す仕組みで、こちらはセラー側の話。名前は似ているけど、登場人物も国の制度も別物だから混同しないでほしいんだ。

山から逆算する:仕込みは「1か月前」よりもっと前

— 公式の目安と、輸出セラーの実務のズレ

eBay公式のセラー向けガイドは、ピークシーズンの在庫について「ブラックフライデーのおよそ1か月前に仕入れておく」ことを勧めています。ただし、この目安は手元に在庫がある前提の国内セラーを想定した話です。

輸出セラーの場合、発送そのものはDDPで日数単位で済むので、そこはボトルネックになりません。時間がかかるのは「出品してから検索結果に乗って、実績が付くまで」の期間です。出したばかりのページはまだ見つけてもらいにくく、価格やタイトルの微調整をしながら実績を積む時間が必要になります。だから公式の「1か月前」に、この実績づくりの1〜2か月をさらに前倒しするのが実務の目安になります。

仕込みのリードタイムを逆算する図解。ゴールは12月半ばのクリスマス商戦の山。そこから逆算して、公式が勧めるブラックフライデーの約1か月前という在庫確保の目安を置く。日本からの輸出セラーはさらに、出品してから検索に乗って実績が付くまでの1から2か月を差し引く必要があり、結果として仕入れと出品は9月中に終えておくのが実務の目安になる
図:ゴールから逆算すると、仕入れ・出品は9月中に終えておきたい
— Answer
クリスマス商戦の実務の目安
  • 9月中:対象商品の仕入れ・撮影・出品を終える
  • 10〜11月:検索での露出と実績づくり。価格・写真の微調整はこの期間で行う
  • 11月後半〜12月:山頂。ここからは在庫切れさせずに売り切ることに集中する
おかあさんわたしがやっていた頃も、年末になると急に忙しくなった記憶がある。でも当時は、その前から準備するという発想がなくて、いつも山が来てから慌てて撮影して出していたの。
おかあさん
おとうさん
おとうさんそれは今でもよくあることだよ。山が来てから動くのと、山の前に出品を終えているのとでは、同じ商品でも取れる売上がまったく違うんだ。慌てて出したページは、山のいちばん高いところに実績づくりの時間が食い込んでしまう。だから逆算して先に動く方が、結局は近道になるんだよ。

▶ 動画でも:年間の山と谷、仕込みのタイミングについてお話ししています

定番ジャンルと季節の掛け合わせ:No.42の続編として

— 同じジャンルでも、強い季節は違う

「eBayで売れるもの」の記事で挙げた定番6ジャンルは、どれも通年そこそこ動きますが、いちばん強い季節はジャンルごとに違います。年間カレンダーと掛け合わせて、仕込みの優先順位をつけてください。

定番6ジャンルと強い季節の掛け合わせの図解。カメラ・レンズは通年安定でクリスマス前のギフト需要がやや強い。トレーディングカードは年末のブラックフライデーからクリスマスが最大の山。アニメ・ゲーム関連は新学期準備の8月から9月とホリデーの11月から12月の2つの山。釣具は北米の解禁前にあたる春の4月から6月が強い。腕時計は母の日・父の日の5月から6月とホリデーの11月から12月に強い。骨董・和の工芸品は季節よりジャンル固有の需要が主でホリデーはやや上乗せ程度
図:定番6ジャンルの強い季節。仕込みの優先順位づけに使う
— 使い方

たとえば釣具を扱っているなら、最大の山は年末ではなく春(4〜6月)です。年末商戦の逆算だけを鵜呑みにすると、いちばん動くはずの春の仕込みが手薄になります。「年間カレンダーの山」と「自分のジャンルの山」は必ずしも一致しないことを、先に押さえておいてください。

谷の時期にやること:仕入れとリサーチにあてる

おかあさん7月から9月が谷、という話だったけれど、それって何もしなくていいということ?
おかあさん
おとうさん
おとうさん逆だよ。谷は、次の山の仕込みにあてる時期なんだ。前の章で計算したとおり、クリスマス商戦の仕込みは9月中に終えている必要がある。だから7〜8月は、まさにその仕入れ・撮影・出品作業の本番にあたる。谷を「暇な時期」ではなく「仕込みの時期」と読み替えるだけで、やることがはっきりするんだよ。
谷の時期(7〜9月)にやっておくこと
  • クリスマス商戦向けの仕入れ・撮影・出品(9月中に完了が目安)
  • テラピークでの需要チェック(次の章で確認方法を扱う)
  • 売れ残っている出品の見直し(写真・タイトル・価格の点検)
  • ビジネスポリシー・発送設定など、仕込み以外の整備作業

感覚で決めない:テラピークと自分の実績で確認する

— カレンダーは一般論。最後は数字で確認する

ここまでのカレンダーは、あくまで「言われている」一般論です。実際にどのジャンルがいつ強いかは、扱っている商品によって差があります。テラピーク(Product Research)で過去の売れた価格・件数の推移を確認すれば、自分の商品カテゴリの山がいつなのかを裏付けられます。

さらに、Trafficの数字を先月・前年同月と比べる習慣があれば、「今年は谷が例年より深い」といった自分の店舗固有のズレにも気づけます。カレンダーで大枠の当たりをつけ、テラピークと自分の実績で最終確認する。この2段構えが、季節を言い訳にも過信にもしない考え方です。

季節要因を扱うときの確認チェックリスト
  • 1〜3月・4〜6月・7〜9月・10〜12月の4区分で、自分のジャンルの山をイメージできる
  • アメリカ固有の行事(確定申告還付・イースター・母の日・父の日)を把握した
  • 最大の山(10〜12月)の仕込みを、9月中に終える計画を立てた
  • 谷の時期を「仕込みの時期」として使う予定に組み込んだ
  • テラピーク・自分のTrafficの実績で、カレンダーどおりかを確認した

まとめ:カレンダーを知っていれば、谷も怖くない

— 最後に、全体をもう一度

1年の売上は、1〜3月・4〜6月・7〜9月・10〜12月の4つで山と谷を繰り返します。日本のカレンダーに無い・薄いアメリカの行事が山を作っていること、そして山は前もって仕込んだ分だけ取れることを知っていれば、谷の時期も「今は仕込みの時期」と落ち着いて過ごせます。カレンダーはあくまで一般論なので、最後はテラピークと自分の実績で確認してください。

おかあさんカレンダーを知っているだけで、静かな月も不安じゃなくなるのね。今は仕込みの時期、と思えばいいだけなのね。
おかあさん
おとうさん
おとうさんまとめよう。売れ行きの波は暦で決まっていて、山は10〜12月がいちばん急。仕込みは公式の「1か月前」よりさらに前倒しして、山の1〜2か月前には出品を終えておく。谷はサボる時期ではなく、次の山の仕込みにあてる時期。カレンダーで当たりをつけて、テラピークと自分の実績で確認する。これができれば、季節に振り回される感覚はかなり減るはずだよ。
おかあさん — おかあさんのひとこと わたしがやっていた頃は、年末に急に忙しくなるたびに、なぜ今頃になって、といつも思っていました。前もって準備するという発想そのものが無かったのだと、今日の話を聞いてよく分かりました。これから始めるあなたには、山が来る前に、先に仕込んでおいてほしいと思います。