先に結論:出荷が増えて実績ができたら検討する。契約自体は開業届があれば早い段階でも可能
結論から書きます。DHL・FedExとの直接契約は、「出荷量が増えて、料金交渉できるだけの実績ができてから検討する」ものです。ただし契約の申し込み自体は、開業届を出している個人事業主であれば、出荷本数がまだ少ない段階からでも可能とされています。急いで契約する必要は無く、SpeedPAKで発送しながら実績を積み、料金や手間の面でメリットが見えてきたタイミングで切り替えを検討する、という順番で考えてください。
- 直接契約の最大の違いは、CPaSS(OC)という窓口が無くなり、料金を自分の実績で交渉できるようになること
- SpeedPAK Economyは返送ラベルを自分で作れないため、輸入契約だけでも結んでおくと返品時の選択肢が増える
- DHLは公式サイトで「法人番号や開業届が無い個人事業主でも利用できる」と案内されている
- FedExは「ビジネス」「個人」の2種類のアカウントがあり、クレジットカード払いならすぐに発送を始められる
- 契約後も、Hirogete・Ship&Coのような発送管理ツールを使えば、eBay注文の自動取り込みや追跡番号の自動反映を維持できる
- DDP(関税を先払いする方式)が必要な点は、SpeedPAK経由でも直接契約でも変わらない
なぜ直接契約が必要なのか:CPaSS経由との違い
SpeedPAKのShip via FedEx・DHLは、CPaSSというeBay公式の窓口が、あなたに代わってFedExやDHLとのやり取りを引き受けてくれる仕組みです。別記事で説明したとおり、この仕組みのおかげで、アカウントを持たない初心者でも、FedExやDHLの品質で発送できます。
CPaSSの料金表は、OCアカウント認証を済ませたセラーならSpeedPAKセラーポータルで確認できますが、これはOCがFedEx・DHLと交渉した、全セラー共通の運賃です。自分だけの出荷実績に応じて、その条件を個別に見直すことはできません。DHL・FedExと直接契約すると、自分の名前で交渉窓口を持つことになり、出荷量が増えるほど自分の条件として見直しやすくなります。加えて、CPaSSはeBayの注文にひもづく仕組みですが、直接契約したアカウントは、eBay以外の荷物(他のモールでの販売や、個人的な発送)にも使えます。
返品(リターンリクエスト)が来たとき、Economyだと返送ラベルが作れない
直接契約を検討する理由は、料金交渉や他モールでの利用だけではありません。SpeedPAK Economyで発送した商品にリターンリクエスト(Return request/バイヤーからの返品の申し出)が来たとき、CPaSSの画面から返送ラベルを自分で作成できないという制約があります。複数のeBayセラー向け解説記事が一致して説明している内容によると、CPaSSで返送ラベルを発行できるのはShip via FedEx・Ship via DHLのみで、Economyはこの対象サービスに含まれていません。
つまり、Economyで送った商品の返品を受け入れる場合、CPaSS経由では返送ラベルを用意する手段が無く、自分で配送業者に個別に依頼して手配することになります。ここで関係してくるのが再輸入免税(関税定率法第14条第10号。日本から輸出した貨物を、輸出したときと数量・性質が変わらないまま日本へ戻す場合に、関税・消費税が免除される制度)です。再輸入免税を受けるには、税関に対して「輸出した貨物と同一である」と証明する必要があり、往路と復路で同じ配送業者を使うと、この証明がしやすくなります。ただしこれは手続きを円滑にするための実務上の工夫であって、法律上の必須条件ではありません。再輸入免税を受けるつもりが無ければ(関税・消費税を再度払ってもよいのであれば)、返送に使う配送業者は往路と揃える必要はありません。
- CPaSSで返送ラベルを作成できるのはShip via FedEx・Ship via DHLのみ。Economyは対象外
- 往路と復路で配送業者を揃えると、再輸入免税(輸出した貨物を、性質・数量が変わらないまま日本へ戻す場合の関税・消費税の免除)の証明がしやすくなる。ただし法律上の必須条件ではなく、免税を受けないなら業者を揃える必要は無い
ここで1つ注意があります。DHL・FedExは、一定の出荷量が続かないと契約料金が引き上げられたり、アカウントが解約になったりすることがあります。返品対応のためだけに契約したアカウントを、ほとんど使わないまま放置していると、いざという時に使えなくなっている可能性があるということです。この対策として、DHL・FedExに加えてUPSとも輸入契約を結んでおき、窓口を1つに絞らないという考え方もあります。
DHLとの契約の流れ
DHL Japan公式サイトの案内によると、DHL Expressアカウントは法人番号や開業届が無い個人事業主でも申し込めるとされています。用意されている割引の枠組みも明記されており、新規アカウント登録から4か月間は運送料金が50%引き、5か月目以降は前月の利用実績に応じて最大70%引きが適用されると案内されています。これに加えて、国際認定スペシャリストが通関手続きから輸送の最適化までサポートするとされています。
具体的な申し込みの窓口や必要書類の細部は、DHLの公式サイト(お問い合わせフォーム・カスタマーサポート)から直接確認してください。個人ブログの体験談では、問い合わせ→アカウント登録申請→ヒアリング→料金表と契約書の受け取り→契約書の返送→アカウント番号の発行、という流れが紹介されていますが、これは個人の体験にもとづく一例であり、DHL公式が定めた固定の手順として案内されているわけではありません。実際の流れは窓口に確認してください。
- 登録月から4か月間は運送料金50%引き
- 5か月目以降は、前月の利用実績に応じて最大70%引き
- 国際認定スペシャリストによる通関・輸送最適化のサポート
- オンラインでの発送手配とリアルタイム追跡に対応
FedExとの契約の流れ
FedEx Japan公式サイトでは、出荷アカウントとして「ビジネス」(法人登録または屋号がある場合)と「個人」(発送する本人向け)の2種類が案内されています。支払い方法は2通りあり、クレジットカード払いなら少額の確認用預金(案内ではJPY80)で、すぐに発送を始められます。請求書払いを選ぶと、FedExの担当チームがアカウントを作成したうえで発送を開始でき、請求書を受け取ってから30日以内に支払う仕組みです。
公式サイトには「出荷量に応じた専用料金が適用される」「クレジットカード利用で最大70%割引(変動あり)」と案内されていますが、具体的な割引率は個別の契約条件によって決まるとも明記されています。申し込みはFedExのカスタマーサポート(電話・お問い合わせフォーム)から行い、担当者による詳細なヒアリングを経て見積もりが送られてくる、という流れが基本です。
DHL・FedExを比べる:申込条件・料金の考え方
ここまでの内容を、判断材料として並べ直します。DHLは個人事業主向けの間口が公式に明記されており、割引は登録からの経過月数と利用実績で段階的に上がる仕組みです。FedExはビジネス・個人の2種類のアカウントから選び、支払い方法(クレジットカードか請求書か)によって発送開始までの流れが変わります。どちらも、最終的な割引率や契約条件は個別交渉によって決まるため、公式サイトに具体的な数字がすべて載っているわけではありません。
個人が運営するeBay輸出のブログでは、「DHLは月50件前後」「FedExは月間送料10万円前後」が申し込みや継続の実務上の目安として紹介されていることがあります。ただしこれらは個々の体験談にもとづく参考値であり、DHL・FedExが公式に定めた基準として公開しているものではありません。実際の審査は出荷内容や地域によって個別に行われるため、自分の状況を伝えて直接問い合わせるのが確実です。
契約後、eBayでの発送はどう変わるか
DHL・FedExと直接契約すると、送り状の作成から追跡番号のeBayへの反映まで、全部自分の手作業になってしまうと思われがちですが、そうではありません。Hirogete(ヒロゲテ)やShip&Coのような発送管理ツールを使えば、直接契約した自分のDHL・FedExアカウントを登録した状態のまま、eBayの注文を自動で取り込み、送り状を発行し、追跡番号をeBayへ反映させるという、CPaSS経由に近い自動化を維持できます。
Hirogete公式サイトの案内によると、日本郵便・FedEx・DHL・UPSのラベル発行に対応しており、集荷後の追跡番号はeBayに自動登録されるとされています。Ship&CoもFedEx公式サイトの案内によると、eBayなどの注文を自動で取り込み、貨物の追跡データを自動でストアに同期する仕組みです。どちらもeBay公式のツールではなく外部の有料(または一部無料)サービスのため、利用には別途申し込みと料金が必要ですが、直接契約したからといって、毎回の追跡番号入力が手作業に戻るとは限りません。
- Hirogete・Ship&Coのような発送管理ツールを使わない場合は、各社の管理画面で送り状を発行し、eBayの発送手続き画面で追跡番号を手入力する必要がある
- 発送管理ツールの利用料が、直接契約による割引メリットとは別に発生する点は考慮に入れる
- 集荷の予約日時や梱包資材の選び方は、CPaSSの制約を受けずに自分で決められる
関税の扱いは変わらない:DDPは直接契約でも必要
2025年10月17日から、米国向けはDDP(Delivered Duty Paid/関税を先に払って発送する方式)が原則になっています。これはCPaSS経由に限った話ではなく、DHL・FedExと直接契約した場合でも、米国向けであればDDPの対象です。窓口を自分に置き換えても、関税の精算タイミングという制度そのものは変わりません。
契約前に確認したい5つのこと
- 開業届を出しているかを確認した(DHLは開業届が無くても申し込める場合があるとされているが、まずは開業届の有無を整理しておく)
- 直近数か月の出荷本数・送料の実績を数字でまとめ、交渉時に提示できるようにした
- DHL・FedExそれぞれの公式サイトの問い合わせ窓口から、自分の状況(月間出荷本数・主な発送先国)を伝えて見積もりを依頼した
- まずは輸出ではなく輸入契約だけを相談してみる選択肢も検討した(Economyの返品対応の保険になる)
- 契約後もeBayとの連携を維持したい場合は、Hirogete・Ship&Coのような発送管理ツールに自分のDHL・FedExアカウントを登録する方法があることを理解した
- DDP(米国向けの関税先払い)の対応が、契約後も引き続き必要であることを確認した
まとめ:窓口を無くしても、発送管理ツールで運用は維持できる
DHL・FedExとの直接契約は、CPaSSという窓口を無くして、料金交渉と使い道の自由度を自分の手に取り戻す選択です。DHLは個人事業主向けの間口が公式に明記されており、FedExはビジネス・個人の2種類のアカウントから選べます。どちらも具体的な割引率は個別交渉で決まるため、まずは自分の出荷実績を整理して、直接問い合わせるところから始めてください。
なお、この記事で紹介した割引の枠組みや支払い方法は、DHL Japan公式サイト・FedEx Japan公式サイトの執筆時点の案内にもとづくものです。契約条件は変更されることがあるため、実際に申し込む際は必ず各社の最新の案内を確認してください。
- 直接契約の最大の違いは、CPaSS(OC)という窓口が無くなり、料金を自分の実績で交渉できるようになること
- DHLは法人番号や開業届が無い個人事業主でも利用でき、登録から4か月間は50%引き・5か月目以降は最大70%引き
- FedExはビジネス・個人の2種類のアカウントがあり、クレジットカード払いならすぐに発送を始められる
- 契約後もHirogete・Ship&Coのような発送管理ツールを使えば、eBayとの連携(注文の自動取り込み・追跡番号の自動反映)を維持できる
- SpeedPAK Economyは返送ラベルを作れないため、輸入契約だけでも結んでおくと返品時の選択肢が増える
- DDP(米国向けの関税先払い)は、直接契約でも変わらず必要