— 2026年8月25日、発送前のラベルを並べた机で —
おかあさんおとうさん、机の上のラベル、どれも「SpeedPAK」って書いてあるのに、見た目も書いてある内容も全然違う。これって同じサービスじゃないの?
おかあさん
おとうさん
おとうさんいいところに気づいたね。「SpeedPAK」は1つのサービス名じゃなくて、CPaSS(eBay公式の配送プラットフォーム)の中にある3つの発送方法をまとめた呼び方なんだ。以前の記事では「郵便か、クーリエか」という大枠の選び方を話したけれど、今日はその先、SpeedPAKの中の3つ、Economy・Ship via FedEx・Ship via DHLを、実際にどう使い分けて手を動かせばいいかを整理しよう。

先に結論:決め手は料金。ただし先に3条件で範囲を絞る

— この記事の全体像

結論から書きます。SpeedPAKを選ぶときの最終的な決め手は料金です。ただし、いきなり値段を比べても意味がありません。商品の重さ・サイズ、届けたいスピード、そして自分の出荷本数という3つの条件で、そもそも選べるサービスの範囲が決まるからです(重さ・サイズが上限を超えれば、そもそもEconomyの対象外になる、という具合です)。この範囲を先に絞ってから、一番安い方法を選んでください。

迷ったらまず、重さ25kg・縦横高さ合計170cm以内で、到着まで8〜12営業日待てるならEconomy。それを超える、または1〜3営業日で届けたいならShip via FedExかShip via DHL、というのが最初の分かれ目です。

— Answer
この記事の結論
  • 3つはすべてCPaSS(Cross-Border Parcel Shipping Solution/eBay公式の配送管理プラットフォーム)の中で、タブを切り替えて使う
  • Economyは安いが、1日平均10件以上の出荷実績が、集荷を申し込める目安とされている。満たない場合は郵便局かローソンへの持ち込みになる
  • Ship via FedEx・Ship via DHLは配送目安1〜3営業日。アカウントが無くても始められ、集荷の柔軟さや免除される手数料に違いがある
  • 2025年8月のデミニミス(少額輸入の関税免除)撤廃以降、米国向けはDDP(関税を先に払って発送する方式)が原則になっている。2026年6月からは、150ユーロ以下のEU向け発送にもDDPが必須化された
  • 条件を満たせば、追跡番号の種類に応じて商品未着(Item Not Received/INR)に対する出品者保護が受けられる

SpeedPAKとは何か:CPaSSという窓口の中にある3つの発送方法

— まず、名前の関係を整理する

SpeedPAKは、Orange Connex(オレンジコネックス/OC)という会社が運営する、eBay公式の配送サービスです。50以上の国と地域への配送実績を持つ提携会社で、別記事で紹介したCPaSSという管理画面の中に、SpeedPAKのサービスが組み込まれています。

日本から発送するセラーが選べるのは、「SpeedPAK Economy」「SpeedPAK - Ship via FedEx」「SpeedPAK - Ship via DHL」の3つです。CPaSSにログインすると、この3つがタブで並んでいて、注文ごとにどのサービスで発送するかを選べる仕組みになっています。

eBay公式の配送プラットフォームCPaSSの中に、SpeedPAK Economy、SpeedPAK Ship via FedEx、SpeedPAK Ship via DHLという3つの発送方法があることを示した図解。Economyは配送目安8から12営業日で対象は米国・英国・オーストラリア・EU加盟27か国、重量25kg・3辺合計170cmまで。Ship via FedExとShip via DHLはどちらも配送目安1から3営業日で対象は200以上の国と地域、アカウントが無くても始められる
図:3つとも同じCPaSSの中にある。運営はOrange Connex(OC)
— 料金について、先に断っておくこと

この記事では、具体的な料金の一覧は書きません。料金表そのものは、OCアカウント認証を済ませたセラー向けにSpeedPAKセラーポータル内で公開されています(一般公開ではありませんが、SpeedPAKを使うセラーなら誰でも確認できます)。ただし、重さ・サイズ・発送先といった条件によって細かく変わる料金を本文にそのまま転記すると、条件が違う読者には当てはまらない・改定されて古くなる、といった誤解を招きやすいため、実際の金額はセラーポータルの料金表・料金計算機能で、自分の荷物の条件ごとに確認することをおすすめします。

Economy:安いが、集荷を頼めるかは出荷本数の目安で変わる

— まず対象と上限

SpeedPAK Economyは、配送目安8〜12営業日で、対象は米国・英国・オーストラリア・EU加盟27か国です(eBay公式サイトの案内にもとづく)。重さ・サイズには上限があり、実重量25kg以下、縦・横・高さの合計が170cm以下という条件です(eBay Japan公式ヘルプの案内にもとづく)。トレカのような、軽くて薄い商品をまとめて送るのに向いています。

梱包資材とラベルは自分で用意します。国内配送用のラベルと、国際配送用のラベルを分けて、それぞれ別の梱包に貼るという手順が必要です。Economyの荷物は、いったんOC社の日本国内の倉庫に集約されてから海外へ送られる仕組みのため、この貼り分けを間違えると、正しく発送処理が進みません。

— 注意
「集荷」を頼めるかどうかは、出荷本数で変わる
  • Economyの集荷(自宅や事務所まで荷物を取りに来てもらう申し込み)は、1日平均10件以上の出荷実績が目安とされている(eBay Japan公式ヘルプの案内にもとづく)
  • この目安に満たない場合、集荷は申し込めず、日本郵便の窓口またはローソンへの持ち込みで発送する
  • 持ち込みの場合も、スマートフォンのQRコードと荷物を照合してから預ける流れになる。事前に発送する荷物とラベルの対応を確認しておく
おかあさん1日10件も出していない人は、この安いEconomyは使えないってこと?
おかあさん
おとうさん
おとうさん使えなくはないんだ。使えなくなるのは「集荷」だけで、Economyというサービスそのものは、日本郵便かローソンに自分で持ち込めば利用できる。始めたばかりで出荷本数が少ないうちは、持ち込みでEconomyを使いながら、本数が増えてきたら集荷への切り替えを検討する、という順番でいいと思うよ。

Ship via FedEx・DHL:速さと追跡精度をとるならこちら

— 共通点:どちらもアカウントが無くても始められる

Ship via FedExとShip via DHLは、どちらも配送目安1〜3営業日、対象は200以上の国と地域という、Economyより速く・広いサービスです。共通しているのは、自分でFedExやDHLと契約していなくても始められるという点です。

Ship via FedExは、既存のFedExアカウントを使うこともできますが、持っていなければOC(運営会社)が代理で申請してくれます。ただし集荷の予約は当日か翌営業日のみで、DHLほど先の日程を柔軟には選べません。FedExインターナショナル・プライオリティのエンベロープやパックを使う場合は、FedEx公式サイトから取り寄せた指定の梱包資材が必須になります。

Ship via DHLは、DHLアカウントは不要で、申し込みなしに始められます。集荷の予約は最大9日先まで指定できるため、発送日をあらかじめ決めて動きたい場合に扱いやすいです。DHLの梱包資材を使うサービス(エクスペリエンスサービス)を選ぶ場合は、DHL公式サイトから取り寄せた梱包資材が必要です。

— それぞれに付く特典

FedEx経由ではリモートエリア(配送地域が限定される地区)への追加料金と、住宅への配送手数料が免除される特典があります。DHL経由では電池入り商品の追加料金と、住宅への配達通知料が免除される特典があります(いずれもeBay公式サイトの案内にもとづく)。どちらも、通常なら別途かかる手数料がSpeedPAK経由だと免除されるという共通点がありますが、免除される項目そのものは違うので、その点は覚えておいてください。

おかあさんわたしがやっていたころは、国際配送というとEMSの窓口しか知らなかったから、こんなに選択肢で迷うことは無かった。今はずいぶん複雑なのね。
おかあさん
▶ 動画でも:FedExの指定梱包材を使うときに注意したい点を、オガタが解説しています

Economyか、FedEx・DHL経由か。分かれ目は3つ

— 料金表より先に、この3つを確認する

ここまでの内容を、選ぶための基準として並べ直します。①商品の重さとサイズが上限に収まるか、②到着までの日数を待てるか、③送り先がEconomy対象国(米・英・豪・EU)に入っているか。この3つのうち、どれか1つでも満たせなければ、選択肢は自動的にFedExかDHL経由に絞られます。

Economyと、FedEx・DHL経由のどちらを選ぶかの分かれ目を示した図解。Economyが向いているのは重さ25kg以内・3辺合計170cm以内で、到着まで8から12営業日待てて、送り先が米国・英国・オーストラリア・EU加盟27か国のいずれかの場合。FedEx・DHL経由が必要になるのは、重さや大きさがEconomyの上限を超える場合、1から3営業日で届けたい場合、追跡を細かく確認したい場合、送り先がEconomy対象国の範囲外の場合。1日の出荷本数が平均10件に満たない場合、Economyの集荷は申し込めず日本郵便かローソンへの持ち込みで発送する
図:重さ・スピード・送り先の3つで、選択肢はほぼ絞れる
— 追跡の精度も判断材料になる

もう1つの違いが追跡の細かさです。Economyは基本的な追跡にとどまりますが、FedEx・DHL経由はどちらも集荷から通関、配達までを細かく追跡できます。高額な商品や壊れやすい商品は、追跡の細かさそのものがトラブル対応の材料になるため、価格差だけでなくこの点も判断に加えてください。

関税の扱い:SpeedPAKでもDDPが原則になる

— 発送方法が変わっても、関税のルールは変わらない

2025年10月17日から、米国向けはDDP(Delivered Duty Paid/関税を先に払って発送する方式)が必須になっています。これはFedEx・DHL経由に限った話ではなく、Economyを含めて、CPaSS経由で米国へ発送する場合は原則としてDDPの対象になります。

2026年6月からは、EU向けのSpeedPAK発送にもDDPが必須化されています。eBay公式サイトの案内によると、EUで従来認められていた150ユーロ以下の小口貨物の免税措置が2026年7月1日に廃止され、品目ごとに一律3ユーロの関税が課される制度に変わったことにともない、SpeedPAK Economyは2026年6月22日から、Ship via FedEx・Ship via DHLは2026年6月26日から、申告単価(送料を除く)が150ユーロ以下のEU向け発送はDDPが必須になりました(対象はEU加盟27か国。UK向けは対象外)。150ユーロを超える場合は、これまでどおりDDP・DDUを選べます。関税がいつ・誰の負担で精算されるかという仕組み自体は、DDPとDDUの違いを解説した記事で詳しく説明しているので、そちらも参照してください。

通関の手続きは、発送方法によって使う仕組みの名前が違います。FedEx経由ではETD(電子的な通関データをオンラインで提出する仕組み)に対応しており、DHL経由ではPLT(紙の書類を使わないペーパーレス通関)に対応しています(eBay Japan公式ヘルプの案内にもとづく)。どちらも、税関に提出する書類を電子的に処理できるという点は共通です。

おかあさん関税って、結局バイヤーさんが受け取るときに払うものだと思っていたけれど、DDPだとそこが変わるということ?
おかあさん
おとうさん
おとうさんそのとおり。DDPでは関税をあらかじめ商品価格や送料に含めて、発送の時点で精算してしまうんだ。だからバイヤーは受け取るときに追加で関税を請求されない。今はDDPが基本になっているからこそ、ラベルに書かれたETDやPLTのようなコードが正しく載っているかを、発送前に確認する意味があるんだよ。

出品者保護を受けるための条件

— 追跡番号の種類が関係する

SpeedPAKには、条件を満たすと商品未着(Item Not Received/INR。バイヤーの手元に商品が届かないという申し立て)に対する出品者保護が受けられる仕組みがあります。eBay公式サイトによると、対象になるのは追跡番号が「EX」「EM」「EE」のいずれかで始まる場合で、条件を満たせば商品未着の欠陥評価が自動的に取り除かれ、配送遅延もセラーの評価対象から除外されます。

具体的な適用条件(発送元・発送期限など)は、eBay公式ヘルプ・CPaSSのダッシュボード内で随時案内されており、この記事の執筆時点で確認できた範囲を超える細かい条件については、発送前に必ずCPaSSまたはeBay公式ヘルプで最新の内容を確認してください

発送前に確認したい6つのこと

SpeedPAK発送前のチェックリスト
  • 商品の重さ・サイズが25kg/170cm(3辺合計)以内かを確認した(超えるならFedEx・DHL経由)
  • 送り先がEconomy対象国(米国・英国・オーストラリア・EU加盟27か国)に入っているかを確認した
  • 自分の1日あたりの出荷本数が、Economyの集荷を申し込める目安(1日平均10件以上)に届いているかを確認した(届かない場合は持ち込みの準備をした)
  • Economyを使う場合、国内配送用ラベルと国際配送用ラベルを正しく貼り分けた
  • FedEx・DHLの指定梱包材が必要なサービスを選ぶ場合、事前に取り寄せが済んでいる
  • 追跡番号がEX・EM・EEで始まっているかを発送後に確認し、出品者保護の対象になっているかを把握した

まとめ:迷ったら、重さとスピードから決める

— 結びに

SpeedPAKの3つの発送方法は、名前こそ似ていますが、対象国・重量上限・集荷の柔軟さ・免除される手数料がそれぞれ違います。料金表を暗記する必要はありません。商品の重さとサイズ、届けたいスピード、自分の出荷本数という3つを確認すれば、選ぶべきサービスはほぼ決まります。

なお、この記事で挙げた重量・サイズの上限や出荷本数の目安、対象国は、eBay公式サイト・eBay Japan公式ヘルプの執筆時点の案内にもとづくものです。実際の条件は変更されることがあるため、発送の前には必ずCPaSSの最新の案内を確認してください。

この記事の要点
  • SpeedPAKは1つのサービス名ではなく、CPaSSの中にあるEconomy・Ship via FedEx・Ship via DHLの3つをまとめた呼び方
  • Economyは配送目安8〜12営業日・対象は米英豪とEU27か国・重量25kg/170cm以内。集荷には1日平均10件以上の出荷本数の目安がある
  • Ship via FedEx・DHLは配送目安1〜3営業日・対象200以上の国と地域。アカウントが無くても始められ、免除される手数料の種類が異なる
  • 米国向け、および150ユーロ以下のEU向けはDDPが原則で、これはEconomyを含めてSpeedPAK全体に共通する
  • 追跡番号がEX・EM・EEで始まる場合、条件を満たせば商品未着の出品者保護が受けられる
おかあさん結局、いきなり値段を比べるんじゃなくて、まず自分の荷物と出荷のペースで選べる範囲を絞ってから、その中で一番安いものを選ぶ、ということね?
おかあさん
おとうさん
おとうさんまとめよう。重さとサイズが上限に収まって、日数を待てるならEconomy。それ以外はFedExかDHL経由。あとは自分の出荷本数で、集荷か持ち込みかが決まる。この順番で範囲を絞ってから、その中で一番安い方法を選べばいい。いきなり値段だけで比べようとするから、名前の多さに振り回されるんだよ。
おかあさん — おかあさんのひとこと 同じ「SpeedPAK」という名前の中に、こんなに違う仕組みが並んでいるとは思いませんでした。名前で選ぶのではなく、自分の荷物に合わせて選ぶもの。そう聞くと、複雑そうに見えた机の上のラベルも、少し整理して見えるようになりました。