先に結論:慌てず、5日以内に、証拠で選ぶ
結論から書きます。Payment Disputeの通知が来たら、やることは3つです。①5日以内に対応する ②証拠が出せるかで「受け入れる(Accept)」か「争う(Challenge)」かを選ぶ ③セラー保護の条件を満たしておく。この3つだけです。
いちばんやってはいけないのは、放置です。期限内に何もしないと、そのまま決済会社がバイヤー有利で処理するのが普通で、争う機会そのものが消えます。怖い通知ほど、まず開いて期限を確かめる。ここから始まります。
- Payment Disputeはバイヤーが決済会社(カード会社・PayPal等)へ直接申し立てる返金要求。判断するのは決済会社で、eBayは証拠の橋渡し役
- 通知が来たら5日(暦日)以内にAcceptかChallengeを選ぶ。放置がいちばん悪い
- Challengeで出せる証拠はファイル5点まで+説明文1,000字まで。未着の申し立てなら「配達済みの追跡+住所一致+$750以上は署名の記録」
- 結果が出るまで最長90日以上。その間、対象の売上金が保留されることがある
- セラー保護の条件(期限内対応・証拠提出・規約違反なし)を満たせば、決済会社がバイヤー有利と決めても、返金額はeBayが持ち、手数料も免除される
Payment Disputeとは。返品リクエストと何が違うか
バイヤーが取引に不満を持ったとき、申し立ての窓口は2つあります。
1つめは、eBayの中の窓口です。返品リクエストや未着のケースがこれで、eBayマネーバック・ギャランティーのルールに沿って、eBayが判断します。
2つめが、eBayの外の窓口です。バイヤーが自分のカード会社やPayPalなどの決済会社に「この支払いを取り消してほしい」と直接申し立てる。これがPayment Dispute(チャージバックとも呼ばれます)です。申し立てを受けた決済会社がeBayに照会し、eBayがセラーに通知して証拠を集め、最終的な判断は決済会社が下します。
この「判断する人が違う」という一点から、実務上の違いが生まれます。決済会社の審査はeBayのケースより時間がかかり、結果が出るまで90日以上かかることもあります。その間、対象の取引の売上金は保留(ホールド)されることがあります。また、同じ取引についてDisputeが開かれると、eBay内で進んでいた返品やケースは自動的に閉じられます。二重には争いません。
申し立ての理由としては、「商品が届いていない」「商品説明と違う」「身に覚えのない支払い(不正利用)」「返金を受け取っていない」などが典型です。なお、Payment DisputeはeBayの外の手続きなので、セラーレベルの指標(不良取引率)には数えられません。
通知が来たら:5日以内にAcceptかChallengeか
Disputeが開くと、eBayからメールで通知が届き、Seller HubのRequests and disputesタブに表示されます。ここから5日(暦日)以内に、次の2つのどちらかを選びます。
選択肢① Accept(受け入れる)。バイヤーの言い分を認めて返金する選択です。返金額はセラーの売上から差し引かれますが、Acceptを選んだ場合、Dispute手数料は免除され、その取引の販売手数料の一部または全部も戻ってきます。「証拠が弱い」「金額が小さく、争う手間に見合わない」場合は、Acceptが合理的な判断です。負けを認めるようで悔しく感じますが、条件の悪い戦いを降りるのも立派な実務です。
選択肢② Challenge(争う)。言い分に根拠が無いと考えるなら、証拠を付けて争います。出せるのはファイル5点まで+説明文1,000字まで。ここで出す証拠の中身は次の章で理由別に整理します。提出後は決済会社の審査に入り、結果まで最長90日以上かかることがあります。
判断の軸はシンプルです。「決済会社が見て分かる証拠が、手元にあるか」。あるならChallenge、無いならAccept。感情ではなく、証拠の有無で選びます。
理由別・Challengeで出す証拠と英文例
Challengeで勝負を分けるのは証拠の質です。理由別に、何を出すかを整理します。
「商品が届いていない」(未着)の場合。出すべきは配達の証明です。具体的には、①配達済み(Delivered)を示す追跡情報 ②配達日 ③届け先住所が注文詳細と一致していること、そして④合計$750以上の注文では署名確認を購入した記録。クーリエ(FedEx・DHL)なら、署名入りの配達証明書(Proof of Delivery)をWebからダウンロードしてそのまま添付できます。この④があるかどうかは発送の時点で決まっています。詳しくは署名確認の記事で書いたとおりです。
「商品説明と違う・破損している」の場合。出すべきは出品時の記録です。商品の状態がすみずみまで写った出品写真、状態を正確に書いた説明文、そしてバイヤーとのメッセージのやり取り(問題が解決済みならその記録)。つまりこの類型では、出品ページの作り込みがそのまま証拠になります。商品写真の記事で「傷は隠さず大きく撮る」と書いたのは、売るためだけでなく、この場面で守られるためでもあります。
「身に覚えのない支払い」(不正利用)の場合。これはカードの持ち主とバイヤーの間の問題で、セラー側から出せる証拠はほとんどありません。この類型で頼るのは、次の章のセラー保護です。つまり、期限内に対応し、求められた情報を出し、保護の条件を満たして「負けてもお金が守られる側」に立つことが現実的な戦い方になります。
説明文は英語で書きます。難しい構文は不要で、事実と日付と番号だけを並べるのがいちばん伝わります。型を2つ置いておくので、[ ]を差し替えて使ってください。
The order was shipped on [June 12] via [FedEx] with tracking number [XXXX]. Tracking shows the package was delivered on [June 16] to the buyer's address in [city / ZIP code], which matches the address on the order. Signature confirmation was purchased, and the signed proof of delivery is attached. I respectfully ask that this dispute be decided in my favor.
The item was accurately described in the listing. The attached listing photos ([photo 3] and [photo 5]) clearly show the condition of the item, including [the scratch on the back panel], and the condition description stated this before purchase. The item delivered is the same one shown in the photos. Our messages with the buyer are also attached for reference.
セラー保護:負けてもお金が守られる条件
Payment Disputeには、eBay独自のセラー保護(Payment dispute seller protections)が用意されています。大事なのは、これが「Disputeに勝つための制度」ではなく、「負けてもセラーのお金が守られる制度」だということです。
保護の条件は3つです。①期限内(5日以内)に対応した ②Challengeするなら求められた証拠を提出した ③取引がeBayの規約に違反していない。この条件を満たしたセラーには、決済会社がバイヤー有利の判断を下しても、eBayは返金額をセラーに請求せず、Dispute手数料も免除または返金します。
手数料についても整理しておきます。Dispute手数料が発生するのは、争って負け、かつセラー保護の対象外だった場合だけです(米国サイトでは1件$20。EUの各サイトでは廃止されています)。期限内にAcceptした場合や、保護が適用された場合には請求されません。つまりここでも、期限を守って手続きをすること自体が、お金を守る行動になっています。
逆に、保護から外れる取引もあります。禁止商品の出品、eBayの外での返金、マネーバック・ギャランティーの対象外の取引などです。出品禁止商品の記事で書いた「そもそも売ってよいものか」の確認は、こういう場面の保険にもなっています。
- Payment Disputeは決済会社への直接の申し立て。判断は決済会社、eBayは証拠の橋渡し役
- 通知はメールとSeller HubのRequests and disputes。5日以内にAcceptかChallengeを選ぶ。放置がいちばん悪い
- Accept=返金して終える(手数料は免除・販売手数料も一部戻る)。Challenge=ファイル5点+1,000字で争う
- 選ぶ基準は「決済会社が見て分かる証拠があるか」。未着なら配達証明+$750以上は署名の記録、説明違いなら出品写真と説明文
- 不正利用は証拠で勝てない類型。保護の条件を満たして「負けても守られる側」に立つ
- 保護の条件は期限内対応・証拠提出・規約違反なし。満たせば返金額はeBay持ち、手数料も免除
- 手数料(米国$20)が発生するのは争って負け、保護も外れた場合だけ
- 審査は最長90日以上。売上金の保留もあり得る。結果を急かすことはできない
備えは日々の出品と発送の中にある
Payment Disputeへの備えは、通知が来てから始まるのではありません。追跡番号の付く方法で送る。$750以上は署名を付ける。写真は傷まで写す。説明文は正確に書く。やり取りはeBayのメッセージに残す。どれも、この連載でこれまで書いてきた日々の基本ばかりです。
つまり、まっとうに出品して、まっとうに発送しているセラーは、気づかないうちにDisputeの備えを毎日積み上げています。通知が来たら、慌てず、5日以内に、証拠で選ぶ。それだけで、この「いちばん怖い通知」は、手順のある事務作業に変わります。