— 2026年7月26日の午後、岐阜の仕事場 —
おかあさん出品の作業をしていて、いちばん手が止まったのは「これ、本当に出していいのかな」という場面だった。家にあった古い眼鏡や、母から譲られたかんざし。売れそうだとは思うのに、なんとなく不安で、結局出さずに戻したものがいくつもあったのを覚えている。かといって、どこを見れば白黒がつくのかも分からなくてね。
おかあさん
おとうさん
おとうさんその不安は、実はとても正しい直感なんだ。今これを読んでいる人に先に結論を言っておくと、「売っていいか」の答えは一箇所には書かれていない。見るところが3か所あってね。eBayのポリシーで見るところ、日本の法律で見るところ、相手の国の事情で見るところ。この3つを分けて考えられるようになると、迷う場面が一気に減るよ。逆にここを混ぜたままだと、eBayで出品できたから大丈夫だろうという、いちばん危ない読み方をしてしまうんだ。

「売っていいか」を決めるルールは3か所にある

— 引っかかる場所が違えば、起きることも違う

この話題は「eBayの出品禁止商品リスト」として語られることがほとんどです。しかし実務で日本のセラーが止められる場所は、そこだけではありません。eBayの審査は通ったのに、日本の税関で荷物が止まることがありますし、日本からは問題なく出せたのに、相手の国の税関で廃棄されることもあります。

それぞれ管轄が違うので、引っかかったときに起きることも違います。eBayで引っかかれば出品が消えてアカウントに傷がつき、日本で引っかかれば荷物が返送か放棄になり、相手国で引っかかれば商品も送料も失ったうえにバイヤーとのトラブルになります。まずこの地図を持っておいてください。

eBayで商品を売っていいかどうかを決めるルールが3か所にあることを示した図解。1つめはeBayの出品ポリシーで、禁止・制限商品のポリシーとVeRO(知的財産の権利者からの申立て)に引っかかると出品が削除され、繰り返せば出品制限やアカウント停止に進む。2つめは日本の輸出規制で、ワシントン条約の対象品は経済産業大臣の輸出承認とCITES輸出許可書が必要になり、刀剣や文化財にも別の規制がある。3つめは相手国の輸入規制で、食品・化粧品・医薬品・種子・電池・電波を出す機器は国ごとに可否が違い、止まれば返送か現地で廃棄になる
図:3か所は別々の決まりごと。ひとつ通っても、次が待っている
— Overview
3か所のルールと、引っかかったときに起きること
  • ① eBayの出品ポリシー:出品が削除される。繰り返すと出品制限、最終的にアカウント停止
  • ② 日本の輸出規制:荷物が税関で止まる。返送か任意放棄(所有権の放棄)になる
  • ③ 相手国の輸入規制:現地で返送か廃棄。商品も送料も戻らず、未着のケースにもなる
  • この3か所はそれぞれ独立している。ひとつ確認したから他も大丈夫、ということはない

ルール①:eBayが禁止・制限している商品

— 「禁止」と「制限」は別のもの

eBayのポリシーは二階建てになっています。ひとつは禁止(Prohibited)で、こちらは条件を問わず出品できません。もうひとつが制限(Restricted)で、条件を満たせば出品できるという意味です。ゼロか1かではない、というのがここでの大事なところです。

カテゴリの数は70前後あり、成人向け商品からエアソフトガン、動物製品、美術品、化粧品、クーポン、イベントチケット、食品、政府発行品、危険物、人体の一部、医療機器、生きた動物、宝くじ、植物と種子、処方薬、不動産、レプリカ、株式・有価証券、盗難品、たばこ、使用済み衣類、乗り物、仮想通貨、武器まで、かなり細かく分かれています。

ただ、この一覧を全部覚える必要はありません。自分が扱うジャンルの周辺だけ見ればいいからです。カメラを扱う人が人体の一部のポリシーを読む必要はありませんし、フィギュアを扱う人が不動産のポリシーを読む必要もありません。

日本のセラーが「うっかり」手を出しやすいもの
  • アダルト(成人向け)に当たるもの。日本では一般の店に普通に並んでいる同人誌・写真集・雑誌・グッズでも、eBayの成人向けポリシーの側から見ると扱いが違う。「国内で売られているのだから大丈夫」は通じない
  • たばこ・電子タバコ関連。本体だけでなく、リキッド・カートリッジ・関連の器具まで含めて扱いが厳しい
  • 大量虐殺や殺人を想起させるもの。ナチス関連品、戦地から持ち帰られた記念品、事件や犯罪者にまつわる品。ミリタリー雑貨や古い勲章・軍装品を扱う人は、意図せずここに触れることがある
  • 差別を想起させるもの。人種・民族・宗教を侮蔑する図柄や文言が入ったもの。古い玩具、看板、広告物、紙もの、キャラクターグッズに紛れていることがある
  • 動物や植物からできたもの。象牙・べっ甲・毛皮・革・珊瑚・種子。ここはルール②にも重なる
  • 武器に見えるもの。モデルガン、エアソフトガン、刃物。日本国内では合法でも扱いが違う
— 上の4つに共通していること

最初の4つは、いずれも「日本の感覚では商品として成立しているのに、eBayでは別の基準が当たる」ものです。偽物やコピー品のように、はじめから後ろめたさがあるわけではありません。だからこそ、悪気なく出品してしまいます。

特に注意したいのは古いもの・戦争にまつわるもの・昔の紙ものです。当時は当たり前だった図柄や表現が、今の基準では差別的とみなされることがあります。骨董品や紙ものを仕入れる人は、商品の状態だけでなく描かれているものと書かれている文言まで見てください。

— 出品できてしまうことがある、という前提を持つ

ここで誤解しやすいのが、eBayのシステムは出品の時点で全部を止めてくれるわけではないということです。分かりやすいキーワードは弾かれますが、写真や説明文の中身まで自動で判定しているわけではありません。

つまり、出品ボタンが通ったことは「問題がない」の証明にはならないのです。数日後、あるいは数か月後に削除されることもあります。判断の責任は最後まで出品した側にある、という前提で考えてください。

VeRO:本物を売っていても出品が消える仕組み

— 判断しているのは、eBayではなく権利者

禁止商品と並んで、初心者がいちばん驚くのがVeRO(Verified Rights Owner Program)です。日本語では知的財産保護プログラムと呼ばれます。

仕組みは単純です。ブランドや著作物の権利を持っている会社が、自分の権利を侵害している出品を見つけたらeBayに申し立てる(Notice of Claimed Infringement/NOCI)。eBayは申立ての内容が揃っているかを確認したうえで、該当する出品を削除し、セラーに理由を添えた通知を送る。これがVeROの流れです。

ここで押さえておきたいのは、侵害かどうかを最初に判断しているのはeBayではなく権利者側だということです。だから「本物を売っているのに」という反論は、eBayに向けても話が進みません。相手はあくまで権利者になります。

— 消される理由は、大きく3種類

ひとつめは商品そのものが侵害品である場合。偽ブランド品、レプリカ、海賊版のソフトやディスクなどです。これは弁解の余地がありません。

ふたつめが、日本のセラーがいちばん踏みやすい出品の中身が侵害している場合です。商品は正真正銘の本物でも、メーカーの公式サイトから持ってきた写真を使っているメーカーの商品説明をそのまま訳して貼っているロゴ画像をタイトル画像に使っている。写真と文章には撮った人・書いた人の著作権があるので、これらは立派な侵害になります。

三つめが正規の販売網の外で売られていることを権利者が問題にする場合です。いわゆる並行輸入品にあたるもので、本物であっても、権利者が国ごとの販売代理店と契約している場合には申立ての対象になることがあります。

おかあさん……ふたつめは、正直に言うと分かる気がする。自分で撮った写真はどうしても素人くさくて、メーカーさんのきれいな写真を見てしまうと、あちらのほうがよく見えるのよね。同じ商品なのだから構わないだろう、という気持ちになってしまいそう。それも侵害にあたる、ということ? わたしなら、悪いことをしている自覚のないまま使ってしまったと思う。
おかあさん
おとうさん
おとうさんそのとおりで、自覚が無いまま踏むのがこの類型の怖いところなんだ。はっきり言っておくと、他人が撮った写真は、その商品を自分が持っていても使う権利にはならない。仕入れ先の通販サイトの画像も、メーカーの公式画像も同じだよ。それに実務の話をすると、公式画像はどのセラーも同じものを使うから、そもそも差がつかないんだ。自分で撮った写真のほうが、状態が正直に伝わって返品も減る。守りのためにも攻めのためにも、写真は自分で撮る。これが結論だね。撮り方は商品写真は何を撮ればいい?にまとめてあるよ。

削除の通知が来た日にやること

— 最初に結論:出し直さない

知的財産の侵害で出品が削除されると、eBayから理由を添えた通知が届きます。ここで多くの人が「どう直せば出し直せるか」を考え始めます。その方向で動かないでください

eBayの案内には、出品自体が侵害している場合(許可なく著作物の画像を使っているなど)は、その部分を取り除けば再出品できる可能性がある、と書かれています。しかし実務でこれが通ることは、まずありません。申し立てているのは権利者であり、出し直すということは、その権利者に対して「自分の扱っている品は侵害品ではない」と証明しなければならないということです。個人のセラーがそれを認めさせられたという話を、私は聞いたことがありません。

それでも写真や説明文を変えて強引に出し直すと、どうなるか。また削除され、警告が積み上がり、出品制限やアカウント停止に近づきます。1件の商品を守ろうとして、アカウントごと失う動き方です。削除されたら、その出品は諦める。これが唯一の現実的な結論です。

eBayで知的財産の侵害を理由に出品が削除された通知が届いたときの対応を示した図解。権利者からの申立てを受けてeBayが削除した状態で、結論はその出品を諦めて出し直さないこと。代わりにその日のうちにやることは3つで、①通知にある権利者の名前と削除の理由を控えて保存する ②同じ理由に当てはまる出品を探し指摘される前に自分から全部下げる ③入口を変える(仕入れ先を見直す、写真と説明文は自分で用意する)。直して出し直すことを勧めないのは、出し直すには申し立てた権利者に侵害品ではないと認めさせる必要があり現実にはほぼ通らないため。強引に出し直せばまた削除され警告が積み上がり、1件を守ろうとしてアカウントを失う動き方になる。繰り返すと警告、出品の制限、アカウント停止へ進む
図:出し直さない。代わりに、その日のうちに3つやる
— その日のうちにやること、3つ

ひとつめは通知を保存することです。権利者の名前削除の理由を控えておきます。この2つが、次に何をやめるべきかを決める材料になります。

ふたつめは同じ理由に当てはまる出品を、自分から全部下げることです。同じブランド、同じ仕入れ先、同じ写真の使い方。指摘されてから消すのと、自分で消すのとでは、記録の積み上がり方が違います。1件で止められるかどうかは、ここで決まります。

三つめは入口を変えることです。商品そのものが侵害品だった場合は、仕入れ先を見直します。「安く手に入る本物」に見えたものが実はそうでなかった、というのはよくある話です。出品の作り方が原因だった場合は、写真と説明文を自分で用意する習慣に切り替えます。eBayサスペンドの原因と対策でも触れていますが、入口を変えないかぎり、同じことが必ずもう一度起きます

— そのブランドを扱い続けるかどうか

あわせて考えておきたいのが、その権利者の商品を今後も扱うかどうかです。VeROに参加して積極的に申立てをしている権利者の商品は、正規品を扱っていても繰り返し削除される可能性があります。

1件あたりの利益と、削除のたびに積み上がる記録を天秤にかけて、そのブランドから撤退するという判断も普通にあり得ます。扱える商品は他にいくらでもあります。ここで意地を張る理由はありません。

— Caution
積み重なると、アカウントそのものが止まる
  • eBayは、知的財産の侵害を繰り返したセラーには、警告・出品の制限・アカウント停止を含む措置を取ると明記している
  • 「直して出し直す」は、その繰り返しを自分から作る動きになる。1件を守ろうとしてアカウントを失うのは、いちばん割に合わない
  • 1件目で終わらせられるかどうかが分かれ目。1件削除されたら、その日のうちに同じ理由の出品を全部探して下げる
  • アカウントが止まると、出品も売上金の引き出しも止まる。積み上げた評価も一緒に失う
  • 「1品の利益」と「アカウント」は釣り合わない。迷ったら出さない、が唯一の正解になる
— どうしても納得できないときだけ

正規品しか扱っていないのに申立てを受けた、という場合に残された道は、出し直すことではなく、権利者に申立ての撤回をお願いすることです。撤回できるのは申し立てた本人だけだからです。ただし返事が来ない、あるいは断られるのが普通だと思っておいてください。期待して待つ時間があれば、次の商品を出すほうが確実に前に進みます。

送るなら、ケンカ腰にならず、事実だけを短く書きます。そして返事が来るまでは絶対に出し直さない。ここだけは守ってください。

Dear Sir or Madam,
My eBay listing (item number: XXXXXXXX) was removed following your report. I sell only genuine items that I purchased in Japan, and I have no intention of infringing your rights. I have not relisted the item and I will not do so unless you allow it. If there is any information I can provide about the item or where I obtained it, please let me know. If you find the report was made in error, I would be grateful if you could consider withdrawing it. Thank you for your time.
(拝啓 御社からのご報告により、私のeBay出品(アイテム番号:XXXXXXXX)が削除されました。私は日本国内で仕入れた正規品のみを販売しており、権利を侵害する意図はございません。当該商品は再出品しておらず、御社のご了解が無いかぎり再出品するつもりもありません。商品や仕入れ先についてお示しできる情報がありましたらお知らせください。もし行き違いによるご報告でしたら、取り下げをご検討いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。)

ルール②:日本から送り出せるか

— eBayのポリシーには書かれていないルール

ここからが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。eBayのポリシーを全部読んでも、日本の法律のことは書かれていません。そして日本のセラーが実際に足を取られるのは、しばしばこちら側です。

代表格がワシントン条約(CITES)です。絶滅のおそれのある野生動植物を守るための国際条約で、対象の品物を海外へ送るには、事前に経済産業大臣から「輸出承認証」と「CITES輸出許可書」の発給を受けなければなりません

「うちにあるのは絶滅危惧種じゃない」と思われるかもしれませんが、対象は思っているよりずっと身近にあります。

日本の家庭にあるワシントン条約の対象品と手続きを示した図解。象牙は印鑑・三味線の撥・根付・古いピアノの鍵盤、べっ甲(タイマイ)はかんざし・櫛・眼鏡フレーム、は虫類の革はワニ革やヘビ革やトカゲ革のバッグ・財布・腕時計のベルト、そのほか珊瑚・サボテン・ラン・漢方薬・一部の木材を使った楽器が対象になる。アンティークでも対象。手続きは、附属書Iは商業目的の国際取引が原則禁止で売るために送ることはできず、附属書IIは経済産業大臣の輸出承認証とCITES輸出許可書の発給を受ける必要がある。20万円以下で輸出申告が要らない郵便物でも許可書の提示は必要で、郵便局に出す前に税関の事前検査を受けておくのが安全。書類に不備があると輸出国への返送か任意放棄(所有権の放棄)になり、商品も送料も戻らない
図:古いものを扱う人ほど当たりやすい。中古・アンティークでも対象になる
— 附属書のI・II・IIIで扱いが変わる

ワシントン条約では、対象の動植物が附属書I・II・IIIに分けられています。附属書Iに載っているものは商業目的の国際取引が原則として禁止です。つまり、売るために送ることはできません。附属書IIは取引そのものは認められますが、輸出承認が必要です。附属書IIIは、掲載国が原産のものであれば承認が、そうでなければ原産地証明書が必要になります。

象牙については特に厳しく、条約が適用された後に取得したものは輸出入が原則として禁止されています。「昔から家にあったもの」という説明が、そのまま通るわけではありません。

— Caution
見落としやすい2つの落とし穴
  • 20万円以下の郵便物でも、許可書の提示は必要。輸出申告が要らない金額だからといって、CITESの手続きまで免除されるわけではない
  • 中古品・アンティークでも対象になる。古さは免罪符ではなく、むしろ古いものほど規制対象の素材が使われている
  • 書類に不備があると、輸出国への返送か「任意放棄」(所有権の放棄)になる。商品は戻らず、送料も戻らない
  • 郵便局の窓口に出す前に、税関の事前検査を受けておくのが安全とされている
おかあさんべっ甲のかんざしが対象になるというのは、まったく知らなかった。うちの箪笥にもあったもの。眼鏡のフレームも、母のものが残っていた気がする。……ということは、あのとき「なんとなく不安だから」と出さずにしまい込んだのは、結果として運がよかっただけ、ということね。
おかあさん
おとうさん
おとうさん運がよかった、というのはそのとおりだね。だから今これを読んでいる人には、勘ではなく手順にしてほしいんだ。古いものを出品するときは、まず素材を見る。革なら何の革か、飾りは何でできているか。分からないものは調べる。それでも分からなければ出さない。これで大半は防げるよ。手続きが必要だと分かった場合は、経済産業省の貿易管理の窓口に問い合わせるのがいちばん早い。刀剣のように、都道府県の教育委員会や文化庁が絡むものもあるから、そういうものは専門の買取店に相談したほうが確実だね。

ルール③:相手の国が受け取れるか

— 同じ商品でも、国によって答えが変わる

3つめは、送り先の国の輸入規制です。eBayも国際取引のポリシーの中で、出品したものが自分の地域の法律に適合しているかを確認する責任はセラーにあるとしています。そして、その「地域」には相手の国も含まれます。

差が出やすいのは、食品、化粧品、医薬品やサプリメント、種子や植物、リチウム電池を内蔵した機器、そして電波を出す機器です。無線を使う商品は国ごとに技術基準と認証が違うので、日本国内では普通に売られているものでも、そのまま持ち込めない国があります。

— 実務では、発送業者の禁制品リストが早い

各国の法律を直接調べるのは現実的ではありません。実務的な近道は、使っている発送業者が公開している禁制品・条件付き受託品のリストを見ることです。日本郵便もFedExもDHLも、国別の制限を案内しています。業者が受け付けないものは、そもそも送れません。

そのうえで、特定の国で問題が起きやすいと分かっているなら、eBay側で発送除外国を設定しておくのが確実です。設定の場所はBusiness Policiesにまとめてありますが、除外する国の決め方・ハンドリングタイムとの組み合わせ方はeBayハンドリングタイムと発送除外国【守りの設定まとめ】で詳しく解説しています。売り先を絞ることは後ろ向きな判断に見えますが、返送されて往復の送料を失うより、はるかに安く済みます。

なお、相手国で止まった荷物は返送されるか、現地で廃棄されます。バイヤーから見れば「買ったのに届かない」状態なので、未着として扱われることになります。その場面での対応はeBayで売れた後の流れリターンリクエスト対応の型を先に読んでおいてください。

出品前の3分でできる確認

— 覚えるのではなく、手順にする

ここまでの内容を丸ごと記憶しておく必要はありません。出品作業の中に確認の手順を組み込んでしまえば、あとは自動的に守られます。1商品につき3分もかかりません。

出品ボタンを押す前の6つ
  • ブランド名で調べる。そのメーカーがVeROに参加して権利者としての方針を公開していないか確認する。参加していれば、何を禁じているかも書かれている
  • 写真は自分で撮る。仕入れ先の通販サイトからも、メーカー公式からも持ってこない。これだけで削除理由のかなりの部分が消える
  • 説明文は自分の言葉で書く。メーカーの商品説明を翻訳して貼らない。実物を見て、状態を自分で書く
  • タイトルのブランド名の使い方に注意する。互換品や社外品を売るときは、正規品と誤解されない書き方にする(英語タイトルの作り方
  • 素材を見る。革・べっ甲・象牙・珊瑚・毛皮・羽根が使われていないか。古いものほど確認する
  • 迷ったら出さない。判断に5分以上かかる商品は、その5分を別の商品の出品に使うほうが儲かる
おかあさん「迷ったら出さない」というのは、なんだかもったいない気もする。せっかく売れそうなものを見つけたのに、それを手放してしまうのでしょう。当時のわたしなら、一品でも多く出したくて仕方がなかったから、たぶん粘って調べ続けてしまったと思うの。
おかあさん
おとうさん
おとうさん気持ちはよく分かるよ。でも数字で考えてみるとはっきりする。1品の利益がたとえば3,000円だとして、アカウントが止まったら失うのは、これまで積み上げた評価と売上のすべてだ。天秤にかけるまでもないよね。それに、粘って調べている30分があれば、問題のない商品を3品は出品できる。危ない1品を守ることより、安全な3品を増やすほうが、結局は早く伸びるんだ。これは我慢の話じゃなくて、時間の使い方の話なんだよ。

攻める前に、守りを先に固める

— 事故は、知らないところでしか起きない

出品禁止商品もVeROも、内容そのものは難しくありません。難しいのは「自分がそれに当たっていることに気づけない」ことです。偽物を承知で売る人はごく一部で、実際に削除されている出品の多くは、悪気なく踏んでいます。

だからこそ、覚えるべきは個別の決まりごとではなく「見るところは3か所ある」という枠組みのほうです。この枠組みさえ持っていれば、初めて扱うジャンルでも、自分で調べる先が分かります。eBayのポリシーを見る、日本の輸出規制を見る、相手国と発送業者を見る。順番はいつも同じです。

この記事の要点
  • 「売っていいか」を決めるルールは3か所にある。eBayの出品ポリシー/日本の輸出規制/相手国の輸入規制
  • eBayのポリシーは禁止と制限の二階建て。制限は条件を満たせば出せる。自分のジャンル周辺だけ読めばいい
  • 出品ボタンが通ったことは、問題がない証明にはならない。後から削除されることがある
  • VeROは権利者が申し立て、eBayが削除する仕組み。本物でも、写真や説明文の流用で消える
  • 削除通知が来たらその出品は諦める。直して出し直そうとしない。代わりに、権利者名と理由を控え、同じ理由の出品を自分から下げ、入口を変える
  • 繰り返しは警告・出品制限・アカウント停止につながる。1件目でその日のうちに全部片づける
  • 象牙・べっ甲・ワニ革などは輸出承認証とCITES輸出許可書が必要。20万円以下の郵便物でも許可書は要る
  • 相手国の規制は発送業者の禁制品リストで当たりをつけ、危ない国は発送除外に設定する
おかあさんこうして並べてもらうと、わたしが感じていた「なんとなく不安」の正体が分かった気がする。危ないかどうかが分からなかったのではなくて、どこを見れば分かるのかを知らなかったのね。見る場所が3か所あると教えてもらえていたら、あのときしまい込んだものも、調べたうえで堂々と出せたか、きっぱり諦められたか、どちらかにできていたと思う。
おかあさん
おとうさん
おとうさんそこがこの話の核心だね。不安の正体は、危険そのものではなく「調べ方を知らないこと」なんだ。だから今これを読んでいる人には、決まりごとを暗記するのではなく、見るところが3か所あるという枠組みだけ持ち帰ってほしい。この枠組みがあれば、初めて扱う商品でも、どこを見ればいいかが自分で分かるようになる。守りが固まると、不思議と攻めの判断も速くなるよ。「これは大丈夫」と言い切れる商品だけを並べていくほうが、迷いながら出品するより、ずっと速く数が積み上がるんだ。
おかあさん — おかあさんのひとこと 出品作業をしていた頃、わたしはこの手の「調べなければいけないこと」から、正直なところ目をそらしていました。難しそうだし、読んでいる時間があれば一品でも多く出したかったのです。でも今こうして順番に説明してもらうと、こわかったのは中身ではなくて、どこから手をつければいいのか分からなかったことなのだと思います。これから始める方には、最初の一品を出す前に、この3か所だけ頭に置いておいてほしいなと思います。知っているというだけで、手が止まる回数がずいぶん減るはずですから。